人文学部研究紹介2019-2020
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9経 歴●研究分野所属学会と学会での活動主要学術研究業績研究から広がる未来と将来の進路文化情報論・社会学コース●教授 菊池 聡認知心理学・クリティカルシンキング文化情報論分野●現在の研究テーマ1.「心」の働きを一種の情報処理システムととらえて,知覚や思考,記憶などの働きを理解する認知心理学の研究に取り組んでいます。中でも,日常生活で起こる「思い込み」や「錯覚」「誤信」のメカニズムや,その対策について,実験や調査などの実証的な研究から明らかにしようとしています。2.こうした認知のモデルをもとに,思い込みを排して合理的にものごとを考える「批判的思考力」の特徴や,その育成について研究しています。これらを考えるための素材として,科学を装う「疑似科学」や,超自然現象を無批判に信じ込んで心の動きを検討しています。認知心理学は,私たちの日常的な問題解決や意思決定を的確なものにするためにおおいに貢献できます。こうした研究成果から,多様な情報にまどわされずに柔軟に多面的にものごとを考えられる批判的思考(クリティカルシンキング)を身につけることができます。【論文】  菊池 聡(2018).災害における認知バイアスをどうとらえるか 日本地すべり学会誌,55,6,286-292. 菊池 聡 (2017). 中学高校生の疑似科学信奉と科学への態度の関連性 信州大学人文科学論集,4,11-24 Kusumi,T., Yama,H., Okada,K., Kikuchi,S. & Hoshino,T., (2016) A National Survey of Psychology Education Programs and Their Content in Japan.Japanese Psychological Research, 58, 4-18.【著書】  『錯覚の科学』(2014,放送大学教育振興会) 『なぜ疑似科学を信じるのか』(2012,化学同人) 『自分だましの心理学』(2008,祥伝社)他。【翻訳(共訳)】 ゼックミスタ&ジョンソン著『クリティカルシンキング入門篇・応用篇』(北大路書房) シック&ヴォーン著『クリティカルシンキング 不思議現象篇』(北大路書房)など日本心理学会(教育研究委員会委員:心理学の認識について大規模な調査研究を行い,心理学叢書No.11『心理学って何だろう?4000人の調査から見える期待と現実』(誠信書房,2018)などにまとめています。日本教育心理学会(疑似科学と学校教育について研究発表),Japan Skeptics(監査委員),日本認知心理学会に参加。1963年埼玉県出身 京都大学大学院教育学研究科博士課程中退。1994年より信州大学人文学部に赴任。2013年ケンブリッジ大学セントエドモンズコレッジ客員研究員。現在,信州大学地域防災減災センター長。放送大学客員教授。

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