研究紹介2019-2020
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分子細胞微生物学 研究室 細見 昭 助教 2008年3月愛媛大学連合農学研究科修了。理化学研究所の研究員を経て、2016年4月より現職。 細胞内のタンパク質の挙動に興味がある。 真核生物のモデルである酵母を使い、生化学及び分子生物学的手法を用いて、細胞内のタンパク質輸送やタンパク質分解の研究を行っています。 真核生物は原核生物に比べて複雑な細胞内構造を有しています。タンパク質がその複雑な内部を通り目的地に正しく輸送される事は真核細胞の正常な機能に重要です。また、タンパク質は正しく作られなければ機能を発揮しません。しかしながら、全てのタンパク質が正しく作られるわけではありません。このような“異常”タンパク質を分解する機構もまた真核細胞の正常な機能に重要です。本研究室では、タンパク質がどのように輸送及び分解されるのかを調べています。 分子生物学という概念が提唱されて半世紀以上経ち、様々な研究手法が開発され、生命の理解が飛躍的に進んできました。その中で、酵母は真核生物のモデルとして大いに利用されています。酵母は古来から発酵に利用する生物として役に立ってきましたが、今は最先端の研究材料でもあります。この酵母を用いて、未だ明らかになっていない生命現象を明らかにすること、さらに、それを利用して、酵母でのタンパク質生産に利用したり、創薬のターゲットを見つけるのが研究の目的です。 生化学的、分子生物学的な手技が身に付きます。研究を通して、物事を客観的に捉え論理的に解決するトレーニングを行います。また、就職活動のサポートも行います。 酵母を用いて基本的な生命現象を明らかにして利用する A B C D A B C 研究から広がる未来 卒業後の未来像 寒天培地上での酵母の生育写真。 遺伝子の違いによって生育度合いが異なる。 酵母の蛍光顕微鏡写真 核の染色 小胞体の染色 二重染色 生命機能科学コース 伊原 正喜 准教授 日本学術振興会特別研究員、理化学研究所、東京大学を経て2009年10月より信州大学農学部。 蛋白質や酵素を自由自在に改造して、光合成生物の物質生産能力を高める技術開発に興味がある。 我々の研究室では、微生物の力を借りた石油代替物質の生産に関する研究を行っています。現在は特に、休耕田などで微細藻類を培養し、そこから生産された糖質を分解し、バイオエタノールやバイオプラスチックに改質する研究や、太陽光発電と微生物を組み合わせた半人工光合成系で、二酸化炭素を固定化し、様々な有用物質を合成するための研究に注目しています。そのために、微生物の育種や、蛋白質レベルでの微生物の改変などを行っています。 私たちはバイオテクノロジーを駆使して、エネルギー問題などの人類が直面している問題に寄与することを目指しています。現在、化石燃料の使い過ぎによって生じた問題によって、我々の社会は様々な面で行き詰っていますが、光合成微生物や植物は、太陽光と二酸化炭素と水から様々な物質を巧みに合成し、環境を汚すことなく繁栄しています。生物から多くの事を学び、さらに改良していくことが、これからの社会に求められていると思います。 遺伝子や蛋白質の設計・調製、化学物質の合成・分析実験を通して多様な実験手法が身につきます。また、チームで研究を行うことが多く、仲間との議論を重ねて研究を進める力を養うことが出来ます。卒業後は化学会社、製薬会社、食品会社等で活躍出来る人材になります。 微生物の力で 次世代エネルギーを作りたい 光合成生物による物質生産の未来像と それを支える遺伝子工学・蛋白質工学 無菌操作用クリーンベンチ(左)、光合成微生物の培養(中)、各種分析機器(右) 生物有機化学研究室 研究から広がる未来 卒業後の未来像 生命機能科学コース 2

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