研究紹介2019-2020
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農業工学研究室 研究から広がる未来 卒業後の未来像 農業工学研究室では、さまざまな地表面に出入りする熱エネルギーの形態を明らかにして、よりよい農村空間を創出するための研究を行っています。地表面を出入りする放射や熱エネルギーは、農地では蒸散や土壌水分消費、橋梁路面では路面凍結、人工芝のピッチやアスファルト面などでは、暑熱環境などを形成します。最新の観測機器を多数備え、精度の高い観測を行うと同時に、温度の観測値は研究室で継承された基準温度計を使用して校正され、古いデータでも正確に比較ができます。環境の形成要因を明らかにすることで修復が必要な場合は対応策を技術として確立することを目指します。 着任以来、トウモロコシ畑を試験地として、熱収支の特徴を検討しています。トウモロコシのような、背(草高)が高く葉の面積(葉面積)が大きい作物は,基準の蒸発散量を20%程度上回る蒸発散が確認できます。この形成機構を解明するため、緑被空間面積率(GSAi)を導入した蒸発散のモデリングに取り組んでいます。2016年までに、なぜ約20%多く蒸発散が生じるのかを明らかにしました。 研究の成果によって、水の効率的利用が求められる地域で、水資源を高度に利用した灌漑農業が可能になります。 このほか、高地の紫外線、橋梁路面凍結、農地砂塵、暑熱環境などの様々な現象のメカニズムを解明することで、環境修復やリスク軽減などの学術的、技術的な提案が可能になります。 研究室のOB・OGは、幅広い分野で活躍しています。多くは行政技術者(公務員)、土木(橋梁)技術者、造園技術者です。海外の大学院に進学後、そのまま海外で活躍する林業技術者(インドネシア)や国連職員(イタリア)もいます。 また、工業高等専門学校や高等学校で教育に従事する者もいます。 鈴木 純 准教授 博士(農学)、修習技術者(農業)。長野県技術吏員(農業土木)を経て、1996年 信州大学に着任。 さまざまな地表面の放射や熱エネルギーの振る舞いについて、気象学や土壌物理学を応用した研究を行っている。 さまざまな地表面に出入りする熱エネルギーの形態を明らかにして、よりよい農村空間を創出します 農地から発生する砂塵の発生メカニズムを明らかにして、その抑制技術を開発する 精度の高い観測によってデータを取得する 35 森林政策学研究室 三木 敦朗 助教 信州大学農学部を卒業後、岩手大学(「持続可能な発展のための教育」の促進を担当)などを経て、2009年度より現職。博士(農学)。 現場での聞き取り調査や、アンケート調査をおこなう 小中学校での森林・環境教育の副読本も作成している 森林を活用した、ほんとうの意味で 豊かな暮らしを考える 林業は、木材を生産するだけでなく、様々な素材・食料・燃料などを生産する産業です。また、森林に関係するレクレーションや文化を支える産業でもあります。当研究室では、森林・林業にどのような可能性があるかを、新しい実践や地域の歴史の中から探り出し、どういう振興策をとればよいかを明らかにすることを目指しています。2017年度は、森林教育に取り組む町で、小中学生むけの学習資料を作成しました。そうした共同研究もお声がけください。https://www.facebook.com/shinshuforepol 学生とともに、林業の担い手と特用林産物を含む林業経営の現状把握、木質バイオマスの利活用、林産物の販売、森林を利用した地域づくり・住民自治や、狩猟とジビエの利用などを調査研究しています。それらに基づいて、森林・林業のあり方や新しい担い手養成について、地域の関係者のみなさんと考える取り組みもしています。最近は、森林所有に関する課題を扱っています。 ここ数年では、公務員(森林・林業関係)や、製材メーカー、住宅・建築メーカー、観光業、教員、NPO職員などに就いています。いずれも、研究室で学んだこと、研究したことが活かされています。 研究から広がる未来 卒業後の未来像 森 林 ・ 環 境 共生学コース 森 林 ・ 環 境 共生学コース

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