研究紹介2019-2020
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32 森林環境学研究室 安江 恒 准教授 科学技術特別研究員(森林総合研究所)を経て2000年4月より信州大学農学部。 木材組織学、年輪年代学的手法を応用して、樹木の肥大成長を制限する要因の解明に迫りたい。 森林環境学研究室の取り組み 森林環境学研究室では、今後生じるであろう気候変動に伴う影響を評価するため、以下の課題に取り組んでいます。 1)肥大成長メカニズムの解明:成長期を通じた観測を通して、木材成長 量や材質に影響を及ぼす要因(植物季節、環境、遺伝的要因)を明ら かにします。 2)環境が肥大成長に及ぼす影響評価:年輪情報を用いて、気候応答解析 や将来の樹木の成長予測を行います。 3)過去の環境変動の復元:年輪情報を用いた1年単位の気候復元や人間 社会の適応を明らかにします。 国内各地の山岳域をはじめ、ロシア、カナダ、アラスカ、モンゴルなどの周極域でも調査研究を行っています。研究室に閉じこもっていては見えてこない事象を間近に観察することで、気候変動に対する各地の森林の応答の個性と普遍性を明らかにしていきたいと考えています。 フィールド調査からラボでの計測・解析に至る広い視野と共に、自ら立案し試行錯誤を重ねながら研究を進める力が身につきます。また、木材の形成から利用に至る知識を身につきます。卒業後は森林に関わる公務員や木材・住宅業界等で活躍出来る人材になります。 気候変動と森林・樹木成長の関係を探る カナダでの森林調査 温暖化したら樹木成長はどうなるの? 研究から広がる未来 卒業後の未来像 森 林 ・ 環 境 共生学コース 木材利用学研究室 武田 孝志 教授 林野庁勤務を経て1992年4月より信州大学農学部。 木材利用に関する分野で特に信州カラマツ材の強度特性など実用的側面を意識した研究に関心があります。 信州型接着重ね梁の静的曲げ試験 (長野県林業総合センターにて) (写真一枚or複数枚組み合わせ) 木質接着パネルの屋外暴露試験(共同研究) 木材利用学研究室(武田)では、木材利用学に関わる分野の中で、木材および木質材料/エンジニアード・ウッドの物理的・力学的特性の解明を通じて、実用的な視点からアプローチしています。また、従来の木材のマテリアル利用に加えて、エネルギー利用の方向性あるいは環境負荷の影響など循環型社会形成に向けて役立つ研究を目標としています。 信州を代表するカラマツ材の強度特性など地域の課題に積極的に取り組む一方、木造住宅の耐震性に深くかかわる部材強度特性等に関する実験も行い、木材利用を社会実装に向けて支援するための研究を進めています。 私たちは木材利用の立場から、木材の持っている優れた特性をたどり、安全安心かつより効率的な利用方法につなげるための基礎的研究を中心に行っています。 実用的側面を重視しつつも、理論的解析・詳細な観察に取り組むことにより、木質科学の発展にも貢献することを願っています。 木材利用推進は、木材の炭素固定能を通じて地球温暖化防止に貢献することから、学内外の研究者ならびに企業との共同研究ならびに地域の要請にこたえるべく研究に励んでいます。 木材の強度実験等を通して木材の基本的な特性を理解し、その理論的バックボーンが身につきます。また、自ら企画して試行錯誤を重ねながら研究を進めることによって、力を養うことができます。これまでの卒業生をみると、官公庁や住宅メーカーなど広範な分野で活躍しています。 木材のマテリアル利用について 力学的特性など色々考えてみる 研究から広がる未来 卒業後の未来像 森 林 ・ 環 境 共生学コース

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