研究紹介2019-2020
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流域保全学研究室 国土交通省、林野庁、府県の土木・林業関係部局など、国土保全や防災・森林行政の最前線で活躍する人材を輩出しています。さらに、建設コンサルタントなど社会資本整備を支える専門的技術者も多数輩出しています。 福山 泰治郎 助教 農業環境技術研究所、金沢大学等を経て2009年より信州大学農学部。災害に関わる水・土砂の動きや、人間や動物の活動が環境に及ぼす影響を研究しています。 土と水の動きをとらえることで 土砂災害を軽減し、環境を保全する 流域保全学研究室では“山地流域の土砂生産・流出メカニズムの解明と土砂災害対策”に重点を置き、雨・地震・凍結融解・シカによる土砂生産や、森林の水土保全機能に関する研究を行っています。現在は、 •根系が土壌中の水移動や斜面安定に及ぼす影響の評価 •樹木根系が表層崩壊の規模に及ぼす影響の把握 •シカの高密度化が土砂流出に及ぼす影響の評価 •山岳域の凍結融解による土砂生産 •深層崩壊の予測に向けた岩盤内地下水動態の研究 •表層崩壊危険箇所の抽出に向けた地形解析 などの研究に取り組んでいます。 中央アルプスや南アルプスなどの中部山岳域、伊豆大島や阿蘇などの土砂災害の現場をフィールドとして、その場所の地形や地質、気象、植生、歴史を知り、そこで起きている現象を見て防災、減災につなげたいと考えています。 2013年に伊豆大島で発生した土砂災害 センサーカメラがとらえたニホンジカの姿 研究から広がる未来 卒業後の未来像 森 林 ・ 環 境 共生学コース 28 平松 晋也 教授 高知大学農学部助教授を経て、2005年より現職。 研究分野は砂防学で、崩壊や土石流の発生メカニズムや予測手法に関する研究を行っている。 霧ケ峰高原で実施した登山道侵食に関する現地観測と散水実験。一連の研究成果は、(公社)砂防学会から優秀発表論文賞を授与された。 平松研究室では、“山岳地域での土砂生産・流出の原因や土砂災害の対策”に関する研究を行っています。崩壊や土石流などによる土砂災害の発生のメカニズムをはじめとして、森林斜面の土層内に分布している樹木の根系や土の中に形成されたパイプの存在が斜面の安定性に及ぼす影響度評価や森林の伐採が土砂生産に及ぼす影響など、森林の土砂災害抑制機能の定量化やその限界を明らかにしようとした研究も行っています。最近では、一度発生すると大規模災害を引き起こすことになる深層崩壊のメカニズム解明に向けた研究を開始しています。 基礎学力と応用力を身につけるだけではなく、論文作成を通して文章作成やコミュニケーション能力を身に着けた4年生・大学院生は、主に国や県、建設関連企業の技術者として活躍しています。 災害に強い快適な生活圏と持続可能な生物生産基盤の創生を目指して 研究室では、流域内で生産されたり流出する有害な土砂を効率的にコントロールすることにより地域住民の人命や財産を守ることを目的とした研究をしています。最近多発している大雨によって、全国各地で土砂災害が数多く報じられており、本分野は以前にもまして重要になっています。自然の猛威に打ち勝つことはできないかもしれませんが、その力をうまくコントロールすることのできる手法や技術を開発することにより災害に強い快適な生活圏と持続可能な生物生産基盤の創生が可能となります。 森林の土砂災害抑制機能その限界の定量化に向けた研究の推進 (森林は、我々の生活をどれだけサポートしてくれるんだろう?) 土層内部での雨水の挙動の観測:根系周辺 崩壊によりむき出しになった樹木根系(森林の崩壊抑制効果はどこまで期待できるの?) 腐朽根 Φ5.0cm 採水部の概要 活性根 森林土壌採取用 100ccサンプラー 流域保全学研究室 研究から広がる未来 卒業後の未来像 森 林 ・ 環 境 共生学コース

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