研究紹介2019-2020
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18 食と免疫の融合研究 〜食生活の改善で免疫機能を高める〜 私たちの体内環境は、食生活の乱れや加齢、大気汚染、ストレスなどの生活環境を取り巻く様々な要因によって悪化し、免疫機能が低下するといわれていますが、そのメカニズムの全容解明には至っていません。そこで当研究室では、食品の摂取による免疫機能への影響について解析し、その分子メカニズムを明らかにします。また、免疫機能の低下に伴う病気を予防するために、食品中に含まれる免疫賦活成分を探索し、科学的エビデンスに基づいた免疫機能を高める食習慣に関する研究を進めています。 免疫賦活効果あるいは炎症抑制効果をもつ食品由来成分を探索・同定します。将来的には、感染症やアレルギー疾患、がんなどの各種免疫関連疾患の予防につながる食品の開発を目指します。また、免疫機能を高める食習慣を提案し、健康長寿社会に貢献する先端的な研究を展開します。 免疫学に関する実験を通して、細胞培養、タンパク質実験、遺伝子実験、マウス実験の手技が身につきます。卒業後は、食品会社、製薬会社への就職が期待できます。 田中 沙智 准教授 北海道大学、帯広畜産大学を経て、2013年10月より信州大学農学部に赴任。これまで免疫学を中心に研究を行ってきた。免疫学の他、栄養学、予防医学、抗加齢医学に関心がある。 免疫機能の低下環境汚染ストレス食生活の乱れ加齢喫煙免疫関連疾患の予防につながる食品成分の同定、食習慣の提案運動不足肥満アレルギー疾患やがん、感染症の発症<研究の概要> 信州の伝統野菜の一つである野沢菜など、食品および食品由来成分がもつ免疫調節機能とそのメカニズムを明らかにする。 食品免疫機能学研究室 研究から広がる未来 卒業後の未来像 野沢菜 野沢菜漬け 浅漬け 古漬け マウスの脾臓から 免疫細胞を単離 マウスに摂取させて 免疫状態を評価する 野沢菜により活性化した免疫細胞の様子 動 物 資 源 生命科学コース 分子生命工学研究室 荻田 佑 助教 国立研究開発法人農研機構 食品総合研究所を経て、2016年2月から現職。研究分野は食品機能学。 腸内細菌叢の変化が健康維持・増進に関わる重要なファクターとして考えられており、食品の生体調節機能の新たなターゲットとして腸内細菌への作用に注目が集まっています。そこで私たちは、健康維持・増進に寄与する食品を見出すことを目的に、食品摂取による腸内細菌叢の変動が、宿主の生体調節機能に及ぼす影響を調べ、そのメカニズムを解明する研究を行っています。 食品による腸内細菌を介した、新たな健康維持・増 進メカニズムを解明し、腸内細菌への作用をターゲットとした新たな食品を見出すことで、我が国の健康寿命の延伸に貢献できると考えています。 食品の生体調節機能を評価するヒト・動物培養細胞を用いた実験や動物実験の手法を身につけることができます。また、腸内細菌叢の解析手法等が学べます。食品会社等で活躍できる人材の育成を目指します。 腸内細菌叢に着目した食品の生体調節機能の評価 A B C D A B C 研究から広がる未来 卒業後の未来像 実験動物や培養細胞を用いて、食品の生体調節機能の評価やメカニズムの解明を行う 低酸素培養システムでの細胞培養(左) DGGE法による腸内細菌叢の解析例(右) 動 物 資 源 生命科学コース

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