研究紹介2019-2020
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16 生物資源研究室 動物資源 生命科学コース 研究から広がる未来 卒業後の未来像 上野 豊 准教授 酪農専門農協勤務を経て、2012年2月~信州大学農学部助教、2018年10月から現職。 専門分野:動物栄養学、 応用微生物学 モットー: 「昨日の?を今日の!に」 それぞれの動物にとって最高のレシピを探そう 従属栄養生物である動物が生きていくにはまず食べなければなりません。動物ごとに、生きる目的や、食べたものを自分の体に取り込む仕組みは異なり、必要な栄養やエネルギーも動物によって変わってきます。では、それぞれの動物にとって最も価値のある「食」とはいったいどのようなものでしょうか? わたしたちの研究のゴールはこの問いの答えを出すことです。実験台上で遺伝子や微生物と向き合うこともあれば、別の時間には、野外に出て牛などの動物と接することもあり、健康をはぐくむ豊かな食の実現と、家畜がその能力を発揮できる効果的な飼養法の開発に向けた研究に取り組んでいます。 動物の栄養を考えるうえで、体の中にいる微生物の存在と役割について理解することが欠かせません。体内の微生物とうまく付き合っていくために動物は何を食べればよいか?そして何をしたらいいか?そんな調節方法が見つかれば、より健康で有意義な日々を送ることが可能になるかもしれません。 公務員、民間企業(食品、畜産)への就職が主です。どのような道を進むにしても、毎日の食事に関心を持ち、資源(めぐみ)と生命(いのち)への感謝を忘れないでいてほしいと思います。 農産物加工残渣の飼料化 成分を生かして、捨てるものを資源に変える 反芻胃微生物の機能と多様性 飼い方を変えると、微生物のdiversity(多様性)も変化する 動 物 資 源 生命科学コース 皆さんは、「ソロモンの指輪」って知っていますか? ソロモン王が動物たちと話すときに使う道具のことです。しかし現実の世界に、そのような指輪は存在しません。ヒトと言葉を交わすことができない動物の気持ちを理解できる唯一のツールが動物行動学です。私たちの研究室では、ウシやヒツジといった農用動物(家畜)を対象に、彼らが身体的、精神的苦痛を少しでも感じることなく生活できる状態(アニマルウェルフェアと言います)を把握し、良好なアニマルウェルフェア状態となるような飼育方法の開発、提案を目指しています。 私たちの暮らしは、様々な点で、動物たちと関わっています。例えば、「Happy Cow, Happy Life」で表される様に、幸せな生活環境で飼育されている乳牛は乳量も多く、生産されたミルクの質も高いので、私たちの生活の質を向上します。 近年、生産者1戸あたりの家畜飼育頭数が増加傾向にあります。右の写真のように家畜の状態を精密に監視するためには多大な時間と労力を要します。私たちの研究室では、動物とは縁遠い様々な分野の企業との共同研究を進めていますので、卒業論文、修士論文を通じて、畜産分野の新たな展開を自分の目で確かめ、経験することができます。 動物の飼養管理システムの構築は、動物行動学のみならず、多面的なアプローチを必要としています。卒業生は自ずと、目前の事象を多面的に捉える能力を身に付けます。卒業後は、技術指導者、専門機関での動物飼育管理者等として活躍できる人材として社会に飛び立ちます。 竹田 謙一 准教授 2000年信州大学農学部助手を経て、2008年より現職。この間、山梨県酪農試験場客員研究員を併任。 専門は、応用動物行動学、家畜管理学。動物福祉(アニマルウェルフェア)に配慮した家畜の飼養管理管理に興味を持って、研究を進めています。 動物の快適な生活環境の創造を目指して 〜精密家畜管理学の世界〜 行動観察から乳牛の肉体的、心理的状態を把握し、調査牧場における乳牛の動物福祉(アニマルウェルフェア)を評価しています。 放牧牛の状態を把握するためのIoT機器を首に装着し、 いつでも、どこでも、だれもが牛の様子が分かる システムの開発に取り組んでいます。 動物行動管理学研究室 研究から広がる未来 卒業後の未来像 動 物 資 源 生命科学コース

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