研究紹介2019-2020
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生命機能科学コース D C 機能分子設計学研究室 梅澤 公二 助教 日本学術振興会特別研究員を経て2016年2月より信州大学農学部に赴任。 分子の立体構造と分子認識・生理活性機構の関係を解き明かし、人にとって有益な分子の理論的設計に役立てたい。研究分野は生物物理学や生物情報学。 生体内で働いている分子はATPなどの低分子からタンパク質や核酸などの高分子まで様々です。特にタンパク質は代謝や情報伝達に深く関わっており、タンパク質は相手となる分子との結合を介して生命機能を果たしています。そして、相手と結合するには特定の立体構造を形成することが重要です。しかし、最近では不安定かつ不特定な立体構造を形成するタンパク質が注目されています。そのようなタンパク質は病気(例えば、アルツハイマー病など)に関連していることが知られてきました。本研究室では、計算機の力を使って分子が取りうるすべての立体構造を調べ、結合の基本となる立体構造を解き明かし、生体内での情報伝達の仕組みを分子構造から探求しています。 立体構造の立場から分子の機能を予測・発見する技術を開発しています。最終的な目標は、ある分子がもつ未知の機能(どんな相手分子のどこに、どのように、どのくらいの強さで結合するのか)を予測可能にすることです。この目標を達成できれば、タンパク質をはじめとする生体分子の情報ネットワークの解明だけではなく、薬になりうる候補分子の選定や薬理作用の再発見、薬物間相互作用、さらには毒性・副作用予測へつながります。私の夢は合理的かつ理論的に薬剤・機能性分子の設計を可能にすることです。 計算化学、構造生物学の専門性を高めることができます。研究を通じて問題点の発見、問題解決へ向けた論理的な考察力を養うことができます。卒業後はIT関連会社、製薬会社、CRO等で活躍できる人材になれます。 生命の情報を分子構造から理解する ー計算構造生物化学ー A B C 研究から広がる未来 卒業後の未来像 梅澤写真 「分子」と「機能」の相関性について 分子シミュレーションやデータベース解析を用いて 新たな知見や規則性を追求していく 分子モデリングとプログラミング技術を習得・応用して、タンパク質の翻訳後修飾や構造のやわらかさがもたらす結合調節機構を解明する 結合調節機構の解明 分子の 結合過程 ・分子モデリング ・プログラミング 計算機実験 分子 機能 B 計算 化学 構造生物 やわらかさ? 翻訳後修飾? ・多数の構造モデル ・分子の動き ・溶媒分子 など ・結合相手 ・結合構造/部位 ・親和力 など ー結合様式ー ー立体構造ー 分子シミュレーション データベース解析 新たな知見や規則性 10

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