研究紹介2019-2020
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山田研究室では、マツタケをはじめとする菌根性きのこ類の生態解明と、その応用である栽培化に関する研究に取り組んでいます。菌根性きのこ類は培養が難しく、殆どの種では未だ人工栽培化に成功していません。また、生態が不明であったり、未発見の種も多いと考えられています。山田研究室では、広く国内・海外を対象に山野を駆け回り、野生きのこ類を収集しています。そして、分類や生態解明といった基礎的研究をベースに有望なきのこ類を見出し、植物との共培養を通じて子実体を形成させる人工栽培化技術を開発することを目指しています。 マツタケやトリュフを自在に操り、それらの商業的な人工栽培が可能になると、人々のきのこに対する認識や食文化は大きく変革するはずです。研究室では、これを単なる純粋培養系で達成させるのではなく、自然界の摂理に沿った樹木との共生体として利用していく道筋をつけたいと考え、調査・実験を進めています。また、きのこ類は自然界における物質循環で大きな役割を果たすことから、地球環境に関わるCO2問題、環境放射能問題、資源循環型社会の創出などにも関わりを見出す事が出来ます。きのこという小さな研究対象を通じて、現代と未来の社会を開拓していける人材の育成を理想に掲げています。 微生物の探索、培養、遺伝子解析といった実験操作技術が身に付きます。また、森林や山野を安全に調査できる幅広い技術についても学ぶ事ができます。さらに、長野県の代表的な地場産業であるきのこ栽培産業に関わる最新情報を踏まえて、関連産業へ就職する際に役立てる事ができます。 山田 明義 准教授 学位取得後、林業研究機関でのポスドクを経て、1999年11月より信州大学農学部。 難培養性きのこ類の培養系確立、菌根の構造と機能の関係解明、きのこ類の進化と生態系における役割の解明、人類のきのこ食文化に関心がある。 野外調査で収集したマツタケの子実体 マツタケ培養株とアカマツ実生との共培養 きのこと植物の共生現象: 菌根性きのこ類の基礎科学と人工栽培 応用真菌学研究室 研究から広がる未来 卒業後の未来像 生命機能科学コース 藤井研究室は、ゲノム情報の発現と機能制御機構を解析し、生命の基本的メカニズムの解明とその研究成果を予防医療や創薬に応用することを目指しています。疾患の多くは遺伝因子だけではなく、環境因子との複雑な相互作用よって引き起こされると考えられています。特に、生活習慣病や癌などは、環境因子(食物など)が引き金になっていると考えられています。これらの加齢性疾患は、高齢化社会を迎えるにあたって、今後益々増加することが予想され、予防医療および創薬のターゲットとして極めて重要な研究分野になると考えられています。 超高齢化社会を迎える我が国において、健康維持・増進による疾病の予防と、健康長寿の実現が極めて重要な課題となっています。藤井研究室では、この課題を解決するために、ゲノムの発現と機能を生化学・分子生物学的手法で解析し、生命の基本的メカニズムの解明とその研究成果を加齢性疾患(癌、生活習慣病、神経変性疾患など)の予防・治療法の開発や創薬の開発へ応用することを目指しています。 ゲノム科学・分子生物学・生化学などの知識や技術を修得し、生命科学分野の重要な課題に挑戦するために必要な能力が身につきます。卒業後は、化学・食品・製薬関連の企業で活躍できる人材になります。 藤井 博 教授 新潟大学医学部准教授を経て2007年1月より信州大学農学部。 ゲノム情報の発現と機能制御機構の解析により、生命の基本的メカニズムを解明し、研究成果を予防医療や創薬の開発へ応用することを目指す。 ゲノム情報の発現と機能を解析し、生命現象の仕組みの解明とその応用を目指す! ヒト癌細胞を用いてゲノム情報の発現と機能を 分子・細胞レベルで解析 癌の転移原因遺伝子FABP5の遺伝子発現制御機構および転移促進機構の解明とFABP5遺伝子を標的とした創薬の開発 生化学研究室 研究から広がる未来 卒業後の未来像 生命機能科学コース 6
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