大学概要2018
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高分子を用いた従来のRO膜は日本企業が世界シェアの大半を占め、日本の“お家芸”として有名ですが、高圧ポンプのエネルギー消費が大きくコスト高になるなど、開発途上国に普及させるには課題がありました。信州大学が得意とするナノカーボンを使った革新的なRO膜が実用化されれば、開発途上国などでも海水淡水化が“使える技術”となって、水不足の解消につながる期待があります。すでに有力な膜の候補が発見され、さらに性能を高める努力が行われています。将来ビジョン実現のためのキーテクノロジープロジェクト目標を達成するためには、日本の企業や大学などの研究機関が持つ世界屈指の技術を融合させていく必要があります。このためナノカーボンの研究で知られる信州大学の遠藤守信特別特任教授のチームに加え、理化学研究所、海洋研究開発機構、日立製作所、東レ、昭和電工、北川工業、トクラス、栗田工業などから最先端の研究者・技術者が参画し、オールジャパン体制で取り組んでいます。産学官のオールジャパン体制でプロジェクトを運営文部科学省の「地域資源等を活用した産学連携による国際科学イノベーション拠点整備事業」(H24)により、長野(工学)キャンパスに完成。イノベーションを生み出す拠点であると同時に、環境に配慮した研究棟でもあり、太陽光発電や燃料電池など最新の環境配慮設備を21項目導入しています。国際科学イノベーションセンター(AICS)【提案機関】信州大学 日立製作所 東レ 昭和電工 物質・材料研究機構長野県【COI-S(サテライト拠点)】海洋研究開発機構(JAMSTEC)【COI-S参画機関】 中央大学【参画機関】(平成30年6月現在〈順不同〉)理化学研究所 高度情報科学技術研究機構 北川工業 トクラス栗田工業わたしたちが注目するのは、①地球の水の97%強を占める豊富な海水、②資源採掘に伴い発生する随伴水、③湖沼や地下にある塩分を含んだかん水、の三つです。脱塩、物質分離が可能になれば、海水の淡水化が広く一般的になるだけでなく、随伴水の処理や、かん水の淡水化および有価物の回収が可能になると考えられています。わたしたちが注目する三つの水源信州大学が持つ革新的なナノカーボン材料や物質分離技術の研究成果と、長野県などの企業が持つものづくり技術を活かし、産学官連携で取り組むのが、最長9年間にわたる国家プロジェクト「世界の豊かな生活環境と地球規模の持続可能性に貢献するアクア・イノベーション拠点(COI)」です。特色6:信州大学国際科学イノベーションセンター(AICS)を中核とするアクア・イノベーション拠点(COI)世界中の誰もが十分な水を手に入れられる社会を実現へ海 水随伴水水の妖精「アクアッピ」多様な水源から使える水を造り、循環させる革新的な「造水・水循環システム」の構築かん水世界中の人々がいつでも十分な水を手に入れられる社会19

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