繊維学部研究紹介_2018
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教員紹介着心地の良い被服を設計するためには、被服と人体の間の物理的な現象を理解することが重要です。しかしながら、着衣時に人体と被服の間に形成される空間は狭小であるため、空間内で起きている現象を観察することは容易ではありません。そこで当研究室ではコンピュータ上に衣服と人体を再現し、人体と衣服の間の力学的・熱的現象を予測・解析する研究(コンピュータシミュレーション)を行っています。シミュレーションは、実際に観察することが困難な現象を可視化できることから、被服・繊維製品の設計や評価に貢献するものと期待されています。人体と被服の間の物理現象をコンピュータ上で再現する方法を研究する一方で、当研究室では物理現象と人間の感性(快適性)の関係についても研究を行っています。人体の被服の間の物理現象と感性の関係が明らかになれば、コンピュータシミュレーションにより被服の快適性(着心地)を予測することも可能になると考えられます。卒業後の進路としては、卒業研究等で培った繊維工学、計算工学、コンピュータプログラミング等の知識・経験を生かし、繊維業界、IT業界への就職が大半を占めています。堀場洋輔准教授信州大学大学院工学系研究科修了。博士(工学)。信州大学繊維学部助教を経て、2015年より現職。主に、感性工学、計算工学、被服生理学に関する研究に従事。研究から広がる未来卒業後の未来像衣服から加わる圧力をシミュレーションにより予測した結果。動作に伴う圧力分布を設計段階で検討することが可能になる体温と人体周辺の気温の分布を予測した結果。PMV(予測平均温冷感)等の指標を組み合わせることにより、被服の温熱快適性を予測することが可能になる先進繊維・感性工学科感性工学コースコンピュータシミュレーションにより被服・繊維製品を解析教員紹介松村研究室では、繊維関連業界におけるヒト/モノ/情報などの流れを可視化するため、『ネットワーク分析』に取り組む研究も実施しています。例えば、商品取引関係を企業間に形成されたネットワークとみなすと、企業同士がこのネットワークを通じて互いに影響を与え合うことから、構造把握が重要となります。そこで、ネットワーク分析を通じて、中心的な企業を明らかにしたり、独自性の高い企業取引関係を抽出したりしています。研究室では、公開された企業データを用いた分析結果を、要望があった個別繊維会社等に紹介しています。松村研究室では、業界分析に基づいた新規企業戦略の立案のサポートをネットワーク分析によって図り、新しいビジネスモデルを確立したり、情報技術を取り込んだプロセスイノベーションの創発を実現すべく、研究に取り組んでいます。研究室のテーマでは、基礎研究として、自律分散システムにおける最適化・知能化・自己組織化について、グリッド計算環境の下、進化計算を駆使しています。また、産業応用研究では、複雑ネットワークにおけるマーケティング、ハイブリッドセル生産システムの実現に向けて取り組んでいます。研究室の卒業後は、機械・電機・情報・システム関連会社から銀行や総合研究所の上流工程システムインテグレータとなる人やホテル経営者・会社経営者を目指す人や公務員から博士課程進学者も存在し、未来の幅が広い。松村嘉之准教授日本学術振興会特別研究員、東京大学・英国バーミンガム大学の各客員研究員等を経て、2009年より現職.同年より、中国蘇州大学特別客座教授。イノベーションの創発に興味を持つ。1998年の染色加工整理業界側面から3354社の取引ネットワークをフリーソフトを用いて全て表示。一見では複雑で特徴の把握は困難取引会社の数を次数として、頻度を示したグラフ。このグラフの結果から、特殊なネットワークの性質を用いて分析ができる写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm研究から広がる未来卒業後の未来像先進繊維・感性工学科感性工学コース「ネットワーク分析」し、ヒト/モノ/情報の流れを可視化17

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