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06信州大学はいろいろな人材を“ミキシング”し、交流の場となることも大切な役割のひとつだと考えていますので、このプログラムはそうした意味でも画期的なものと思っています。中村胤夫さん(以下敬称略):私も長野県には本当にいい企業がたくさんあると思っています。リサーチ・フェローの皆さんには、ぜひ、信州の企業をもっと世に出していって欲しいですね。中嶋:その通りですよね。実は、今回の受け入れ企業8社の中にも、すでに創業100年を迎えるような企業、「100年企業」があるんです。そのため「100年企業創出」という名称には“これから”の100年、200年を作っていくのに、何が肝要なのかを考えて欲しいという思いを込めています。中嶋:リサーチ・フェローの方々が活動することにあたり、留意して欲しいことがあれば、教えてください。小城:リサーチ・フェローの皆さんには、東京という看板を一回捨てて、現場に没入するところから始めて欲しいですね。過ごした環境が違えばコミュニケーションギャップは必ず生まれます。でもその環境に入ったからには、いかに同じ目線、同じ気持ちで話せるかが大切です。 しかし外から入るからには、やはり変革を起こして欲しい。このままでは地方の人材不足は解消されない。従来の延長線上に解が無いのならば、これまでとは違った視点が必要になります。それがリサーチ・フェローの皆さんの役割です。自分自身に何ができるのか、見つめ直すいい機会でもあります。しかもこのプログラムには信州大学というサポーターがいます。こんなに心強いことはない。かつ9人も同じ境遇の仲間がいる。孤独ではありません。本当に恵まれた環境だと思いますので、ぜひ皆さんには頑張って欲しいと思います!中嶋:受け入れ企業に心がけて欲しいことはありますか?中村:「先生が来て教えてもらえるんだ」という関係ではいけないと感じますね。壁を作らず、自由に発言できるムードを作って頂くことが大事なのではないかと思います。小城:外部から入った人が変革を起こそうとすると必ず摩擦が起こります。トップの方には、現場の人たちにどういう思いで外部の人を入れるのか、しっかりとした説明をして欲しい。そしてリサーチ・フェローはお客さまではありませんから、しっかりその能力を活用してもらいたいですね。濱田:トップの皆さんの考えは重要ですね。ぜひ、彼らが充分に活躍できる場を作って頂きたいと思います。東京という看板を捨て、地方の現場で一から始める年企業」馳せた、ッションmatchinginterviewリサーチ・フェロー(客員研究員)受入企業2011年の震災以来、地方で何か役に立てないかとずっと考えていましたがなかなか一歩踏み出せないでいたところ、このプログラムのことを知りました。将来、大学の客員教員としての道もあるという点は大きかったですね。これまでベンチャー企業など3社の新規事業立上げを行ってきました。食品業界(信栄食品受入)は初めての経験ですが、どうやって企業の良さを伸ばしていけるのかを考えながら提案を続けています。今の課題は“工場で働く人たちのチームづくりと管理体制”について。増産に伴い、工場で働く人からは疲弊する声も挙がっていました。増産に対応しながら工場で働く人たちが活き活きと働けるよう、ひとりひとりからヒアリングをしたり、会議に出席して会議の進め方を変えるなど課題の抽出と改善を図っています。今は長野と東京の2拠点生活。夢でもあったパラレルキャリアを実現しつつあります。当社は冷凍ギョウザを専門に扱う社員40名の食品メーカーです。おかげさまで増産を続けていますが、当社が100年企業となるには、従業員がしっかりと定着し、活き活きと働き続けられることが一番大切だと考えています。そうした体制をもう一度構築し直したいという思いに対して、佐竹さんはまさに私たちが求める経験と知見をお持ちでした。良いマッチングが成立したと感じています。まだ数週間ですが、すでに工場で働く社員の雰囲気が変わってきていることを感じます。佐竹さんの人柄もあり、社員の良い兄貴分的存在となって意見を吸い上げてくれています。これをきっかけに、会社がしっかりとした一枚岩になれるのではと感じています。今はさらなる課題のあぶり出しをしているところ。すでに社員からいろいろな意見が出てきているので、私も一喜一憂しているところです(笑)。(株)信栄食品代表取締役神倉 藤男氏リサーチ・フェロー(客員研究員)佐竹 宏範さん国立大学法人信州大学 学長濱田 州博東京工業大学大学院理工学研究科博士課程修了。信州大学繊維学部助手、助教授を経て2002年より同学部教授。2010年4月から繊維学部長、2012年6月から副学長を兼任。2016年より現職。
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