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15「信大クリスタル」が世界を変える日信大NOW114号で取り上げられた水を安全に変える新素材「信大クリスタル」。この技術をフィルターに使った携帯型浄水ボトル「NaTiO(ナティオ)」が、昨年12月に発売された。ボトルに水道水を入れ、紅茶のティーメーカーのようにゆっくりとプレスするだけで溶解性鉛や残留塩素が簡単に除去できる。本学と住設機器メーカー トクラス(株)(浜松市)が10年以上にわたり共同研究してきた最先端の技術が詰まった商品だ。昨年都内で開かれた発表記者会見には多くのメディアが集まり、新聞・ウェブなどさまざまな媒体で紹介され話題になった。弊社の経済サイト『START!』でも、「SDGsで世界を変える」という記事で掲載させていただいた。(写真)(www.asahi.com/ ad/start/articles/00228/)。「信大クリスタル」というキャッチ―な響きと「世界初」というパワーワードが、報じるメディア側から見ると魅力的で、とても良い広報戦略だと感じた。信大の技術力をアピールする格好の場であったと思う。昨年来、私はこのNaTiOを日常で使っており、非常に気に入っている。使い始めてまず感じたのは、圧倒的な軽さだ。中身を抜いた500mlのペットボトルとほぼ同じ軽さで、持ち運びがとても楽である。主な使用用途として想定される、子どもたちが学校に水筒として持っていくことにもうまくフィットしている。また、1つのフィルターで約360回使えるエコフレンドリーなところもよい。頻繁にフィルターを変えることは面倒だし、費用も気になる。1日1回使って約1年持つ、ちょうど良い期間だと思う。最後に、「ただプレスするだけ」というシンプルな動作が意外とクセになることも挙げておきたい。自分の(物理的な)力で自分が飲む水を安全に変える、なにか新しい商品を自らの手で作る満足感のようなものを感じて心地よい。もっと大きくプロモーションをすれば、ヒット商品になるのではないだろうか。開発者の手嶋勝弥教授(環境・エネルギー材料科学研究所長)が記者発表会で話されていたことだが、NaTiOの技術は開発途上国での活用にも大きな可能性を秘めている。SDGsの項目に「安全な水とトイレを世界中に」とあるように、いまだ約9億人が基本的な飲み水さえ得ることができない現状がある。それぞれの国の水質に合わせた浄水技術を、よりシンプルに、より低コストで提供することができれば、NaTiOは爆発的に普及していくだろう。会見で参考品として水につける「ティーバッグ」型の製品が紹介されていたが、まさにこういうものが求められている。信大ならではの技術・創意工夫が世界を変える日も、そう遠くないと感じている。記者発表会の様子信州大学は学外の広報有識者に広報アドバイザーとして、広報活動への助言・指導など、多彩な協力をいただいています。 ⑨2002年 朝日新聞社入社。広告局の外務営業、報道局の記者を経て2013年 コンテンツプロデュース部2015年 中東へ留学2016年 メディアビジネス局朝日新聞社メディアビジネス局信州大学広報スタッフ会議外部アドバイザー氏川崎 紀夫記事はWEBサイト「START!」に掲載された。
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