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機会なんて、本来なかなかありません。大学教育ではできない、貴重な経験をしていると思いますよ。何より学生たちが楽しんで活動している。学生たちの自発的な活動だったからこそ、今に続いているのだと思います。まさか30年も続くとは、当初は思いもしませんでしたが(笑)」。顧問の渡邉修学術研究院(農学系)准教授は感慨深げに話します。実は30年前のりんご部隊発足時、渡邉准教授もその活動に参加していた学生の1人でした。「まさか30年も続くとは・・・」と活動を始めた当時の友人たちと驚き合ったこともあるのだとか。りんご部隊の学生たちが「京都遠征」と呼ぶ京都大学での販売も、固定客がつくまでに定着しています。1年の集大成となる行事ということもあり、今年は70名ほどの学生が参加。2トントラックで京都まで運んだ、のべ162コンテナ分(約9,720個)のリンゴを3日間で販売しました。売り場にできる長蛇の列は毎年恒例の風景。一般のお客さんの方が多いそうで、午前中にはその日の販売分をほぼ売り切ってしまうそうです。京都大学の学生側もりんご部隊の受け入れ体制が引き継がれており、長年、学生寮のひとつである「吉田寮」を宿泊場所として提供してくれていました。こうした学生同士の自発的なつながりも、活動を支えています。「『私たちは作業をさせてもらっている立場なんだ』ということを忘れないようにしないといけないと思っています。農家さんとのつながりを大切にすることが、りんご部隊が続いていくために一番大事なことだと思っています」(奥田さん)長年の活動が評価され、今年10月、(公財)信濃育英会から「明るい社会に貢献する学生」として表彰、サークルとして奨学金を受け取ることもできました。りんご部隊の活動理念は、“信州のリンゴ農家の現状を知り、信州リンゴの魅力を伝える”こと。りんご部隊を通じ、本当のリンゴのおいしさを知ったという学生も多いといいます。そんな「リンゴ愛」を持つ卒業生や学生たちの存在は、信州大学にとっても、長野県にとっても、かけがえのない財産です。30年受け継がれている「リンゴ愛」を胸に、これからも信州リンゴの魅力を、多くの人に伝えていって欲しいと思います!信州のリンゴ農家の現状を知り、信州リンゴの魅力を伝えるためにリンゴを162コンテナ!京都大学「11月祭」で販売受け入れリンゴ農家インタビュー安曇野のリンゴ農家と信大、さらに京都大学を結ぶ信大生前号では「ハナサカ軍手ィプロジェクト」を紹介しましたが、信州大学にはまだまだ個性豊かなサークルがたくさんあります。そしてこの時期なにかと話題になるのが、農家ボランティアサークル「りんご部隊」。りんご部隊の主な活動は、年間を通して長野県安曇野市のリンゴ農家のもとで農作業のお手伝いをすること。全学部から集まった「隊員(所属学生)」数は100名を超え、サークルのなかでも屈指の規模を誇ります。さらに今年、なんと最初の活動開始から30周年という節目の年を迎え、信州大学を代表する伝統のサークルといえます。(文・柳澤愛由) 学生たちとの関係も30年になりました。初期の頃は数人しかいなかったけれど、いつの間にか増えて、今では大分大所帯になりましたね(笑)。若い学生たちと話していると気も若くなるし、人手も不足していますから助かっています。規格外のリンゴで作業報酬を支払えるのもありがたいです。年によってはうまくいかないこともありましたし、「遊びじゃないんだよ!」と叱ったこともありました。その都度、学生たちで話し合って、先輩たちから引き継いだ活動を自分たちで途絶えさせちゃいけないとがんばってきてくれました。卒業してから遊びに来てくれる学生もいるんですよ。農業という限定したものではあるけど、仕事の辛さとか楽しさとか、ここでいろいろと経験すれば、社会に出たとき必ず役に立つのではないかと思います。この日の作業に集まった学生はなんと25名!日によって、数名のときもあれば、30名以上の学生が集まることも1年の集大成である京都大学での昨年の販売の様子。固定客も多く、1個100円のリンゴが飛ぶように売れていきます。30年の積み重ねは伊達じゃありません!あっぱれ!INTERVIEW増田農園 増田智幸さん1230年続くりんご部隊のリンゴ愛。農家ボランティアサークル

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