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しです。副代表の小寺由さん(農学部2年)、会計の可児竹生さん(農学部2年)と共に、受け入れ農家とのやり取り、作業に参加する学生数の把握など、全てを取り仕切っています。もともとりんご部隊は、信州大学教養部(現:全学教育機構)の故・玉井袈裟男名誉教授が担当していた「農学ゼミ」に所属する学生たちが、人手が足りないリンゴ農家を支援しようと始めた活動でした。発案者は1988年度入学の農学ゼミ生。安曇野市三郷地区に住む京都大学出身の方のアドバイスを受けながら、京都大学の大学祭で規格外のリンゴを売る、という活動も始まりました。玉井名誉教授が退官した後も、有志の学生たちによって活動は引き継がれていきました。「実際の生産現場に入れる長野県は青森県に次いで全国第2位のリンゴの生産量を誇ります。りんご部隊の活動拠点である安曇野市は長野県内でも5本の指に入るほどのリンゴの産地です。りんご部隊の活動期間は、リンゴ農家が特に忙しくなる春から秋。期間中は毎週末、各キャンパスから作業可能な学生が集まり、安曇野市三郷地区の8軒の受け入れ農家のもとで、季節ごとの農作業を手伝っています。受粉、摘果(摘花)、葉摘み・玉回し、収穫など、1年のうちにやらなければならない作業量は想像以上に膨大です。初夏に行われる「摘果(摘花)」は、リンゴを大きく育てるために、多くつきすぎた小さな果実(時期によっては花)を落とし、より良い果実のみを残す作業です。リンゴが赤く色付き始めた頃に行う「葉摘み・玉回し」は、太陽の光が果皮にまんべんなく当たるよう、果実に影を落とす葉を摘んだり、太陽が当たる方へ果実を回したりする作業のこと。主要栽培品種である「ふじ」のような、果皮の赤いリンゴには不可欠な作業です。学生たちが1年間の作業を終えると、1人1作業につき1コンテナ分のリンゴを作業報酬としてもらうことができます。受け取るリンゴの多くは市場流通には回せない規格外品ですが、わずかな傷やスレがある程度で、味に大きな変化はありません。作業報酬として受け取ったリンゴは、毎年11月に開催される京都大学の学祭「11月祭」で販売し、その売上をサークルの活動資金に充てています。今年、販売したリンゴは、数にしておよそ9,720個(!)。30年間、大学からの援助などに頼ることなく、活動を継続させてきました。「農家さんにとってリンゴは大切な売り物です。サークル活動というくくりではあるけど、りんご部隊の活動は、社会とつながった活動でもあると思っています」。そう話すのは、第31期りんご部隊代表の奥田百音さん(農学部2年)。毎年2年生をサークルの代表とするのが、りんご部隊の慣わ活動開始から30年!「りんご部隊」が信州大学にある理由「りんご部隊」、30年の歴史葉摘み作業の様子。「他大学の友人に『サークルで農作業やっている』と話すと驚かれます」と話す学生も年度ごとにデザインが違うオリジナルパーカー(右)。販売イベントのときなどは、おそろいの法被(左)を着ることも時折おしゃべりもしながら、楽しそうに作業を進める学生たち。着ているのはりんご部隊オリジナルデザインのパーカーりんご部隊代表の奥田百音さん(真ん中)と副代表の小寺由さん(右)、会計の可児竹生さん(左)11
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