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09信州大学が新たに開講した「ユニバーサルフィールド・コンシェルジュ養成講座」の目的は、バリアフリー環境の整備が困難な山岳資源を、車いすユーザーとその家族や友人が、障害の有無や年齢を問わず、共に楽しめるものとする専門知識を有する人材ユニバーサルフィールド・コンシェルジュ(UFC)を育成することにあります。障害者に対応する専門的知識のほか、ユニバーサルフィールドツアー(UFT)に関わる旅行商品の企画、観光事業者へのアドバイス、また、観光事業者と旅行者のコーディネートなど、UFCに求められる能力は多岐にわたります。この講座は9月から2月まで全6回行われ、UFCが持つべき基本的な知識や、アウトドア用車いすなどの専門機材の取り扱い講習のほか、実際にツアーを組み、実施、検証も行う、基礎から実践までを幅広く網羅した内容となっています。観光立国を掲げる日本では、2006年より観光においてもユニバーサルデザイン化障害のある人や高齢者など、車いすを必要とする人とその家族や友人が、バリアフリー環境の有無を基準とせず『人の手や、道具』を活用して大自然を一緒に楽しめる環境や仕組みを作る、ユニバーサルフィールド(UF)という新たな考え方が、提唱され始めています。信州大学は、平成30年9月、その専門的な知識やスキルを持ち、旅行業者や旅行者へのアドバイスやコーディネートができるユニバーサルフィールド・コンシェルジュ(UFC)を養成する全国初の講座を、産学連携により開講。このUFCの活用により、宿泊施設や、交通、医療・福祉、地域の人材や資源を連動させ地域が連携することで実現する新たな社会形成と、新たな市場の構築が期待されています。に取り組んでおり、2018年は特にユニバーサルツーリズム(UT)対応型の旅行商品化に向けた、コンテンツ調査や経済活性化に資する商品の検証等を行ってきています。なかでも、山岳などの観光資源はハード面の整備だけではUTの実現は難しく、専門的な人材の育成が必要不可欠です。しかしながら、今まで観光庁が採択を行う「中核人材育成講座」で「山岳観光のユニバーサル化」がメインに取り上げられたことはありませんでした。そこで、日本でも有数の豊富な山岳資源を持つ長野県にあり、日本の国立大学としては最も高地に位置する信州大学だからこそできる、このUFC養成講座を立ち上げました。長野県、白馬村などと連携し、実際の観光地をフィールドにした、より実践的な内容になっていることも、この講座の特徴です。講師には各々UTを実践してきた一般社団法人ata Alliance、日本航空(株)、クラブツーリズム(株)、(株)netrackなどが名を連ねています。受講者は、①UFやUFTに関わる専門的な知識、②企画力、③調整力、④発信力、⑤コミュニケーション力、⑥評価・改善力の6つの能力を身に付けることが求められます。この6つのポイントが身についているか、その都度評価をしながら講義が進みます。講座の修了者はUFTやインクルーシブイベント(※)の企画・監修、UFの調査・監修、観光事業者と旅行者のコーディネート業務、専用機材(HIPPOcampe)の取り扱いが習得でき、業務として行うことができます。今年度の受講者は17名。定員に対し全国から2倍の申込みがあったため、その中から選考して受講者を決定しました。長野県内だけでなく、大分県、東京都からの参加者もいます。車いす使用者2名も参加しており、障害のある当(文・羽場 友理枝) 平成30年度 観光庁「産学連携による 観「ユニバーサルフィールド・コンシェ ル信州大学ならではの新講座全国初のユニバーサルフィールド・コンシェルジュ養成講座とは…ユニバーサルツーリズムの高い専門知識やスキルを習得し旅行業者へのアドバイスやコーディネートも!「車いすで、よ産学連携に開講式にて受講生の自己紹介に耳を傾ける(左から)長野県観光部観光誘客課丹羽克寿課長、観光庁田村寿浩参事官、信州大学濱田州博学長、信州大学中村宗一郎理事、信州大学学術研究院(総合人間科学系)加藤彩乃助教講義のディスカッション風景
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