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05ローカル・イノベーター養成コース地域社会の中で実践し、将来を切り拓く力を掴みたい人へLocal Innovator Development「ローカル・イノベーター養成コース」の舞台は、地域社会。これまで体験したことのない人口減少や産業構造の変化に対応し、新しい価値や仕組み、産業を生み出せるような人材の存在が強く求められています。「従来の仕事の枠組みにとらわれず、地域の新しい価値を生み出せる人材をこのコースでは養成していきたいと考えています。これまでの枠組みを“変えられる人”…、“変人”を養成するコースです(笑)」。そう林靖人学術研究院(総合人間科学系)准教授が言う通り、ローカル・イノベーター養成コースのキーコンセプトは“創新”。地域社会の現場が抱える問題を的確に分析し、革新的な解決策を考え実践し、新しい地域社会のあり方まで創り出せるような人材の育成を目指します。定員は毎年度20名。1年次は、まずスタートアップとして、地域社会の課題に向き合うためのマインドを磨きます。知識だけを身に付けるのではなく、地域講師との対話やグループでのワークショップを中心に「考える力」「知識を活用する力」を育成します。2年次前期では、「イノベーション・リテラシー」をテーマに、さまざまな地域社会に関係する統計データやビッグデータなどの読み解き方・分析方法を学び、それらを表現(プレゼンテーション)する方法や、質の高い情報を引き出すインタビュー調査などのトレーニングも行います。データに基づいた問題分析と課題設定、アイデア創出のプロセスを実践的に学びます。2年次後期では、「リアル・プロジェクトマネジメント」をテーマに、学生が主体となって「ローカル・イノベーション・フォーラム(仮称)」を企画・運営します。会場確保から基調講演者の調整、進行台本の作成など、学生が自ら実施し運営することで、チームメンバーの適切な役割分担やマネジメント方法なども学びます。3年次から4年次は、個の力を高める「課題解決インターンシップ」を、地域企業や行政、団体と協力して実施します。ただし、従来の企業側が用意する就業体験やリクルート用のインターンシップではなく、企業と大学が協働した人材育成(コーオプ教育)であることが特徴です。OJTの中で地域や組織が抱える問題の分析、課題の設定、アイデアの創出までを学生自ら行い、受け入れ先の企業や団体に課題解決プランをプロポーズするところまで取り組みます。専門分野で培ってきた知識や能力、経験知をフル活用し、事業等をプロデュースする能力を身に付けます。この授業は本コースの修了試験とも言える授業です。授業のほかに、学部・学年の枠を超え、全受講生が参加する「課外活動」が多数用意されていることも本コースの特徴です。例えば、浅間温泉の旅館跡地を活用し、温泉熱を活用したイチゴ園やコミュニティスペース(わいわい広場)を地域協働型で創造する「浅間わいわいプロジェクト(仮称)」もその一つ。広場の活用プランやイベント企画を一緒になって考えます。こうした課外活動は学年、学部の枠を超えて受講生がプロジェクトとして参加し、学生同士の交流を図りながら、さまざまなアイデアを実践に移すことのできる人的ネットワークを築いてもらうことも目指します。「ローカル(現場)の面白さを実践で学べる。信州大学だからこそできる内容だと思っています」と林准教授。実は、浅間温泉に造成中のイチゴ園の運営者である柳澤直樹さん(松本市のイチゴ農家)は、本学のCOC地域プロゼミ(※1)一期生で、そのつながりがあったからプロジェクトがスタートしていたのです。これまで信州大学は、産学官連携や共同研究などで企業や団体、行政、市民とのつながりを構築してきています。こうした独自の基盤があるからこそ、実現できるカリキュラムとなっています。新しい発想で、地域を変える段階的で実践的なカリキュラム信州大学が築いてきた地域とのつながりが活かされる※1)信州大学の人材育成講座「地域戦略プロフェッショナル・ゼミ」。文部科学省「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」で実施浅間温泉の旅館跡地を使い、イチゴ園やコミュニティスペースを核とした地域活性を考える「浅間わいわいプロジェクト」。イチゴ農家・柳澤直樹さんや地元旅館の方々と一緒に、この場所のより良い活かし方、地域の盛り上げ方を考えます。写真は造成中の木造のイチゴハウス(奥)の隣にある芝生スペースで、柳澤さん(左から3番目)の話を聞く学生たち共通教育履修相談・ガイダンス各学部の専門科目認定科目 8単位専用科目 6単位1年次前期1年次後期2年次前期3年次前期~4年次前期(必修)(各学部やコースが推奨する科目)(2単位×3)(必修)スタートアップ・ゼミ2単位卒業認定修了認定ローカル・イノベーター養成コース カリキュラムマップ信州大学学術研究・産学官連携推進機構(SUIRLO)産学官連携・地域総合戦略推進本部 本部長教育・学生支援機構 キャリア教育・サポートセンター副センター長学術研究院(総合人間科学系)准教授林 靖人 信州大学大学院総合工学系研究科修了。博士(学術)。専門は認知心理学、感性情報学。

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