NOW111号
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07林業の未来は「長野モデル」からレーザセンシングによるICTスマート精密林業 in 東京フィンランド・日本 合同シンポジウム 2018.2.27ICTを利用したスマート精密林業が、世界的に注目されています。すでに林業大国のフィンランドを初めとした北欧諸国では、レーザセンシング機器を搭載した航空機やドローン、GIS(※1)による森林管理、IoT機能付き高性能ハーベスタや蓄積された森林情報が閲覧できるクラウドサービスなどが普及しており、さまざまな計測機器から取得した膨大なデータの公開・活用方法も確立しています。しかし日本の林業界においては、レーザセンシングやICTの活用はまだまだ進んでいません。そうした中、信州大学が中心となって開発を進めている次世代型の新たな林業モデルが「長野モデル」です。ドローンや航空機などを使ったレーザセンシング技術やICT機器などから得た詳細なデータを用いて、日本の林業特性に適したより効率的で正確な木材サプライチェーンを築くことを目指しています。中心となって研究を進めている加藤正人学術研究院(農学系)教授は、平成26年からレーザセンシング技術に関して、フィンランドの研究所との共同研究および技術交流を重ねてきました。平成28年度からは、信州大学、北信州森林組合、アジア航測株式会社などと「レーザによるスマート精密林業コンソーシアム」を作り、より実用化に近いシステム開発を進めています。その成果は民有林の北信州森林組合と国有林の中信森林管理署で実践・実証し、国内初のスマート精密林業「長野モデル」といわれ、日本林業の成長産業化に向けたベスト・プラクティスとして、国内外から高い評価を受けています。塩尻市で実施した実証実験事例を用い、「長野モデル」のフローと参画機関の取組みを右図に示します。日本を代表するICTスマート精密林業に! 信州大学や北信州森林組合、アジア航測株式会社などで構成された「レーザによるスマート精密林業コンソーシアム」は、平成30年2月27日(火)、林業先進国フィンランドと合同で、「レーザセンシングによるICTスマート精密林業in東京」を開催しました。 今回のシンポジウムは、信州大学が学術協定を結ぶフィンランドの研究機関との共同研究の成果やコンソーシアムの取り組みを広く伝えることを目指したもの。農林水産省、林野庁、フィンランド大使館、長野県などからも後援をいただき開催が実現しました。当日はフィンランド最先端レーザ研究所長で、信州大学の特別招へい教授でもあるユハ・ヒッパ教授をはじめ、先進的な研究を進める北欧の林業研究者の方々にもご登壇いただき、日本林業の成長産業化について話し合いました。ここでは、主要な話題になった、信州大学が中心に開発を進めている次世代型林業モデル=「長野モデル」に関する研究成果について主にご紹介します。※1)GIS:Geographic Information System. 地理情報システム「長野モデル」イメージ。木材の生産から流通までをレーザセンシングやIoTでつないでいく フィンランドの研究者と共に行った世界最先端のレーザセンシング機器による森林計測。信州大学構内演習林にて。左から2番目が加藤教授「長野モデル」のイメージ図【研究代表機関】信州大学コンソーシアム運営委員会産学官が連携しないと実証できない事業【研究代表】先鋭領域融合研究群山岳科学研究所 教授 加藤 正人 普及担当会議研究進捗の共有と地域貢献(学術連携協定) 学術委員会(全国) 【研究管理運営機関】信州大学 アジア航測株式会社 北信州森林組合【普及担当機関】長野県、中部森林管理局長野県森林組合連合会生産現場への普及コマツ(協力機関)研究マネジメント会議
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