NOW111号
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ノファイバー素材は、繊維の密度を制御するだけで、用途に合わせた薄さや軽さをコントロールすることができることも特徴のひとつ。形や材料を変えれば、全く異なる性能を生み出すことも可能です。例えば、空気は通しても水は通さないアウトドア用ジャケット、自動車などの工業用フィルター、電池のセパレーター、再生医療用材料、エネルギーデバイスなど…、その可能性は今なお広がり続けています。変幻自在のナノファイ ナフィアスの新製品「NaaS N-95」は、細かな粉塵や有害な微粒子を通さない高いフィルター性能を持ちながら、呼吸も会話もしやすい理想的な「N95規格(※1)」。さらに「感染症対策マスクは、蒸れやすく呼吸や会話がしにくい」といわれる医療現場での常識を覆す革新的なマスクです。 さらに大きな特徴は、圧倒的な薄さと軽さ。それを実現したのが、フィルターに用いられている最新ナノテク繊維素材「NaaS®」。独自の製法で生成した太さ100ナノメートル(0.1マイクロメートル)のナノファイバーで作った新素材です。従来のマスクが、蒸れやすかったり、呼吸がしにくかったりすることが多い要因は、使われている繊維の直径がナノファイバーに比べ大きいため、分厚く、さらに繊維と繊維の隙間が少なく、空気の流れる空間を作ることができないため。微粒子が繊維の間と間のムラに入り込み、目を詰まらせ、より通気性を悪くすることもあるそうです。一方、「NaaS®」は、花粉の約300分の1の太さのナノファイバーが微粒子をフィルター表面で捕集、さらにナノファイバー間の微細な隙間が空気の通り道のみ確保するため、機能を充分に保持しながら、これまでにない快適性を実現することができるのです。医療現場のほか、防塵が必要な作業や災害時などでの使用が想定されています。これだけの機能性、快適性を備えたN95マスクは、おそらく世界初だといいます。  大きな注目が集まる最新の高機能マスクですが、「マスクは名刺代わり」だと代表取締役の渡邊圭さん。ナ超高性能マスク、N-95はここまですごいスグレもの!弓や刀の時代にロケットを作った!? 「量産化」とはそういうことらしい。ナノファイバーここまで進んで 「ナノファイバー」は信州大学繊維学部を代表する研究テーマのひとつ。しかし、研究者の間でも製品化の状況は意外と知られていないようです。 そんな中、(株)ナフィアスは、今年2月、国際ナノテクノロジー総合展で、ナノファイバーを用いた高いフィルター性能を持つ革新的マスク「NaaS N-95」を発表。産業系の新聞記事でも話題となりました。関係者からも「もうこんな製品が存在するの?」という驚きの声が上がったそうです。 信州大学発ベンチャー特集第2弾は、ナノファイバーの量産化、製品化に取り組む(株)ナフィアスと、その創業者2人の恩師である金翼水学術研究院(繊維学系)准教授にフォーカスします。繊維を極限まで細くすることで、未来の産業や暮らしはどう変わるのでしょう……期待の膨らむお話を聞いてきました!(※1)「N95規格」は米国労働安全衛生研究所が規定。ウイルスなど直径0.3マイクロメートルの粒子を95%以上捕集できる性能を持つことを示す。国際基準。話題の高性能マスクも「名刺代わり」と言い切る高い戦略(文・柳澤 愛由)2010年信州大学大学院工学系研究科機能機械学専攻(修士課程)修了。2010年より米系半導体製造装置メーカーに4年間勤務後、(株)ナノアを経て2015年に(株)ナフィアスの立上げに参画。現在に至る。2018年4月より信州大学大学院総合医理工学研究科総合理工学専攻(博士課程)在籍中。趣味は革靴作り。(株)ナフィアス 取締役大澤 道 氏(株)ナフィアス2015年設立09

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