医学科研究紹介_2017-2018
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40全年齢・全身の機能と見た目を取り戻し、人生を豊かにする未来の治癒と再生を目指そう形成再建外科学は、先天異常、外傷あるいは腫瘍切除が原因で生じた組織欠損を再生修復する方法を探求する学問で、全診療科の中でも唯一、治療のために形を作り出す診療科です。組織欠損を解決することで、外観の異常と機能の低下を改善し、生活の質を向上させる臨床の現場に直結する研究と教育を行っています。解剖学や形態組織学に加えて、創傷治癒、組織移植や組織再生など、あらゆる手段を探求し、それを臨床の現場に活かしていきます。・顔面計測による研究・赤唇の再建と再生治療に向けての組織学的研究・爪甲変形に対する新規治療法開発・赤外線血流モニター、体成分分析装置を用いた研究顔の各部位の大きさは様々ですが、日本人の顔の基準がわかればよりよい治療へつなげることが出来ます。また現在では欠損すると修復が難しい口唇や指を失っても近い未来には再生できるかもしれません。そんな未来を目指して様々な手法を用いて再生へ向けた研究を行っています。大学や関連病院で幅広い分野の手術症例を経験することで、形成外科医としてのスキルを磨いていきます。その後は大学職員や関連病院の医師として勤務、または開業される先生もいます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像形成再建外科学(教授 杠 俊介)【顔面計測学】顔面計測に用いる各基準点【赤唇の組織像】左:Hematoxylin-Eosin染色、右:Azan染色【体成分分析装置】リンパ浮腫の治療前後の評価で使用しているInbody S10®(InBody)病理医と検査医が拓く未来を経験しよう当科では病理医、臨床検査医それぞれの立場から各科と関わっています。病理医が行う病理診断は、多くの疾患の確定診断や治療方針の決定に欠くことのできない存在となっています。当科では遺伝子診断を始めとし、様々な最先端の技術をとり入れて病理診断に応用し、的確で有用な診断を提供しています。臨床各科と検討会を開催し、診断精度の向上や要求に応えられるよう努力しています。病理医が果たすべき役割はますます重要になっています。臨床検査医もまた適切な検査の施行、検査の精度管理および臨床医のアドバイスなど、効率よく正しい検査を行うためになくてはならない存在となっています。当検査部でも感染制御など多くの部門で臨床検査医が各科と密な連携をとり医療の質の向上に努めています。研究は以下に示すように、病理学的なものから遺伝子解析や検査全般に及ぶものまで多岐にわたっており、医師、技師問わず、専門性を生かした研究を行っています。・ 間質性肺炎の発症メカニズムの解明:未だに原因究明が進んでいない特発性間質性肺炎の原因に関して、2型肺胞上皮の培養細胞を用いて検討している。・ 消化管粘液や消化管幹細胞の分子生物学的研究:消化管上皮の分子生物学的形質発現は癌の発生のメカニズムと関連しており、多くの研究が行われている。・ 液滴型高速PCR検査の開発と応用:PCR検査を10分以内で行う装置をセイコーエプソン社と共同開発し、感染症迅速検査、悪性腫瘍の診断、抗がん剤の効果予測など幅広い応用の検討を行っている。・ IgG4関連疾患の病態解析:臨床病理的解析や病因解明を病理を中心に各科と連携し行っている。・ 細菌感染症における左方移動の有用性の検討:細菌感染症の診断および重症度を判定できる臨床検査はない。古くから用いられている白血球分画の左方移動に注目した。病気のメカニズムを解明することは、治療法のない病気への治療法開発につながります。研究発表や研究留学を通して世界中の研究者と交流が持てます。病理医の活躍の場は多岐に及んでおり、大学病院、市中病院での病理医だけでなく、臨床と基礎の橋渡し的な立ち位置から、研究者としての病理医の道も選ぶことも可能であり、各自のライフスタイルにあった働き方を選ぶことが可能です。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像病態解析診断学(教授 本田孝行)

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