医学科研究紹介_2017-2018
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37生命誕生から終末期に至るまで研究・診療内容の概要産婦人科は周産期、婦人科腫瘍、生殖・内分泌といった、3大専門分野をもち、さらに女性のヘルスケアを加えた主に4分野からなる幅広い学問分野を有します(図1参照)。産科婦人科学は、生命の誕生から終末期に至るまで、女性を生涯にわたってサポートしようという学問体系であり、またこれを臨床現場において実践していく診療分野です。女性特有の臓器である子宮や卵巣は、その生涯において劇的に変化します。妊娠や出産は最も劇的な変化であり、ここでは正常と異常がいつも背中合わせです。このような女性特有の変化および疾患を理解し、上記の産婦人科学問分野に加えて、発生学、病理診断学、画像診断学等を駆使して診療を行っています。医療は急速に進歩しておりますが、未だ解決されない問題が数多く存在します。女性生殖器癌の内、特に子宮内膜癌や卵巣癌は罹患数・死亡数ともに急速に増加しており、発症・進行のメカニズム解明とそれによる新規治療法や予防法の開発は、大きな課題であります。また我が国は周産期医療の進歩により、世界で最も安心して出産できる国になっておりますが、妊娠予後に大きく作用する妊娠高血圧症候群や子宮内胎児発育遅延の発症メカニズムの解明も不十分なままです。体外受精胚移植など、生殖補助医療の進歩はめざましいものがありますが、染色体異常の発生率の増加など、今後clearすべき課題は山積しております。また、未だに受精卵の着床のメカニズムは十分には解明されていません。私達は、これらの問題点を課題として、各研究班で研究に取り組んでおります。【教授名】 塩沢 丹里(シオザワ タンリ)【疾患班名】 1.婦人科腫瘍班 2.周産期・胎盤班 3.生殖・内分泌班産科婦人科学産科婦人科学教授:塩沢丹里教室メンバー難聴の遺伝子解析と新規治療法の探索生まれつき耳の聞こえない、先天性難聴の原因の60%は、遺伝子が関与しています。我々は、「遺伝子」に着目し、難聴の患者さんの遺伝子解析を行って難聴の原因遺伝子変異を多く発見してきました。この成果もあり、現在では、どこの病院でも「難聴の遺伝子診断」が保険診療として行うことができるようになりました。近年「次世代シークエンサー」という最新の遺伝子解析機器が開発され、超高速に遺伝子解析を行うことが可能になりました。これをいち早く教室に導入、全国一の難聴の遺伝子解析の拠点となっています。・「次世代シークエンサー」を用いた網羅的な難聴遺伝子解析・ 全エクソン・シークエンスによる、新規難聴原因遺伝子の研究・ 疾患特異的iPS細胞の樹立による、遺伝性難聴の病態解析病気を治療するには、まず原因を知らなくてはいけません。難聴の原因は長年不明なままでした。遺伝子解析により、多くの難聴患者さんの原因が特定されるようになりました。これからは、その原因にダイレクトに効く治療方法を探求する時代に突入します!難聴の原因にそった治療を見つけよう!同じ「難聴」でも原因は様々。医者として手術で治療する人工内耳、研究者として薬剤を探索。「難聴治療」はこれから発展する分野です。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像耳鼻咽喉科学(教授 宇佐美 真一)遺伝子解析の実験:次世代シークエンサーを始め多くの機器が整備されていますiPS細胞などを用いた難聴の病態解析のための疾患解析実験も行っています

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