医学科研究紹介_2017-2018
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32頭蓋内良性腫瘍は、手術治療のみで完治できる疾患です髄外脳腫瘍 班(チーフ:准教授 堀内哲吉)脳神経外科学当研究室では、頭蓋内良性腫瘍による後遺症を減少させるための外科治療方法の研究と開発をしております。頭蓋内良性腫瘍手術には、定型的な術式がないことが多く、症例それぞれに適した治療戦略が必要です。代表的な良性腫瘍として髄膜腫がありますが、発生部位や腫瘍の性状(硬いか柔らかいか、血管を巻き込んでいるかいないか)などにより手術の難易度が変化します。画像診断などを駆使して、神経症状の悪化なく低侵襲な外科治療方法を行っております。特に、手術機器の開発や新しい手術アプローチ方法の開発に関して精力的に研究しています。・新しい手術方法の開発 ・整容面に優れた開閉頭の開発 ・髄液漏防止のための手術戦略 頭蓋内良性腫瘍は、生命予後は良好であるが、視機能や運動機能などの機能予後は不良なことがある疾患です。良性腫瘍のため、今後も化学療法や放射線治療の効果は期待できず、外科治療が治療第一選択となります。手術治療も、診断機器の発展や器具の改良により、今後も飛躍する分野です。当研究室では、機能予後を改善できる外科治療の開発と外科医の育成に取り組んでいます。良性脳腫瘍といっても種類が多く、組織系により治療方針や手術方法も多岐にわります。良性脳腫瘍の知識・経験を身につけることは脳神経外科医にとって重要です。また、血管障害治療や頭蓋内悪性腫瘍治療にも応用可能と思われます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像脳血管外科は、脳神経外科の中で基本となる手技をまなべる分野です脳血管障害治療 班(チーフ:准教授 堀内哲吉)脳神経外科学脳血管障害は、以前は“脳卒中”と呼ばれていた疾患です。“卒”とは「突然」の意味で、“中”は中(あた)る(傷がつく・倒れる)の意味があります。つまり、脳卒中とは、脳が原因で突然しゃべれなくなったり手足が動かなくなったりするということを意味しています。当研究室では、脳血管障害による死亡ならびに後遺症を減少させるための外科治療方法の研究と開発をしております。特に、脳動脈瘤治療におけるクリッピング術、脳塞栓症における血栓除去術に関して精力的に研究しています。・内頚動脈瘤直達手術 ・虚血性脳血管障害の急性期外科治療 ・新しい手術方法の開発 脳血管障害治療は、直達手術と血管内治療があります。両治療は、それぞれメリットとデメリットがあり相補的な関係で今後も発展していく分野です。直達手術治療の手技も、診断機器の発展や器具の改良により、今後も飛躍する分野です。当研究室では、生命予後のみならず機能予後を改善できる外科治療の開発と外科医の育成に取り組んでいます。脳血管障害は、幅広い分野の内容を含み患者数も多いので、それらの知識・経験を身につけることは臨床医にとって重要です。また、救急科治療、リハビリ科治療、ならびに神経内科治療でも応用可能と思われます。 主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像脳神経外科トップジャーナルの表紙に採用された脳血管障害班の 傍鞍部内頚動脈瘤治療論文 J Neurosurg 123:460-466, 2015脳動脈瘤クリッピング後脳動脈瘤クリッピング前代表的な良性腫瘍である髄膜腫の造影MRI所見。様々な部位に、様々な形態や大きさの髄膜腫が発生する。しばしば重要な神経や血管を巻き込む。前床突起部髄膜腫摘出前前床突起部髄膜腫摘出後

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