医学科研究紹介_2017-2018
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31最先端医療を駆使して低侵襲で神経機能を温存した脳神経疾患の治療を行う研究・診療内容の概要信州大学医学部脳神経外科学教室では、「最先端医療を駆使して低侵襲手術・機能温存治療を行う」を一貫とした治療方針として、脳血管障害・脳腫瘍・脊髄疾患などに対しての外科治療を行っています。また、各関連病院と連携して高レベルの脳神経外科診療を行うことで、より多くの優秀な脳神経外科医を育成することも目標としています。各脳神経外科疾患ごとに、以下のテーマの研究を行っています。1. 低侵襲手術アプローチ研究:頭蓋底深部の病変に対する治療のより安全なルート、手術方法の開発2. 手術機器研究・開発:手術をより安全確実に行う手術器具の開発3. 手術シミュレーション研究:静止および動画の三次元画像を、手術シミュレーションに応用できるよう開発4. 微小脳神経外科解剖研究:より精密な脳神経外科手術が行えるよう、脳の局所の解剖の把握と研究 5. 術中神経機能モニタリング・マッピング研究:機能温存のため、術中に電気生理学的手法を用いて神経機能の同定、評価の研究6. ロボット支援手術装置および手技の研究・開発:世界にさきがけ、脳神経外科手術における低侵襲を目指した手術支援及びロボットの開発、臨床応用研究7. 悪性脳腫瘍の遺伝子解析・研究:遺伝子解析を行い、最適な化学療法を探り悪性脳腫瘍の成績向上に関する研究【教授名】  本郷 一博【疾患班名】 1.脳血管障害治療 班 2.脳腫瘍(髄外 / 髄内) 班 3.機能的脳神経外科 班 4.低侵襲脊椎脊髄 班 5.神経内視鏡治療 班 6.脳血管内治療 班脳神経外科学骨の病気を解き明かす!~“遺伝子”という観点から~関節リウマチ・骨粗しょう症 班(チーフ:講師 中村幸男)運動機能学先天性(生まれつき)の骨の病気、関節リウマチや骨粗しょう症のため、骨が壊れたり、痛みに悩む方は多いです。しかし、これらの病気の原因は明らかではありません。原因が明らかではないので、病気の診断にも苦労することが少なくありません。さらに、これらの病気の根本的な治療方法は、リハビリテーションや手術しかありません。私共は、これら病気の原因として“遺伝子”に着目しております。原因となる遺伝子が明らかになれば、病気の診断確定が可能になり、新しい治療が見つけられる可能性を秘めています。・先天性の骨の病気の原因となる遺伝子を見つける・ 見つかった遺伝子の役割を、動物(ゼブラフィッシュ、マウス)や細胞を用いて調べる・上記遺伝子を用いた病気の診断と治療への応用を行う病気の原因がはっきりすれば、病院で簡便にできる血液や尿検査で診断や治療が可能になります。手術しなくても飲む薬で病気が治る可能性を秘めています。これらの病気に悩む多くの患者さんにとって、福音をもたらすと信じています。・研究を通じて、物事を論理的に考える力が身につきます・ 病気の原因を“遺伝子”という観点から捉えるという新しい知識、経験が身につきます主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像先天性橈尺骨癒合症(生まれつき肘の骨がくっついてしまう)の原因は不明!ゼブラフィッシュは骨と軟骨を有し、骨の遺伝子研究に最適ゼブラフィッシュ卵(直径0.5-1mm程度)への注射(遺伝子導入)本郷一博 教授

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