医学科研究紹介_2017-2018
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23日本の未来を担うこどもたちのための明日につながる研究代表的な研究についてご紹介します。血液・腫瘍グループでは、がんを標的とする人工T細胞受容体(キメラ抗原受容体;CAR)をTリンパ球に遺伝子導入し、その遺伝子改変Tリンパ球を体外で大量培養後に患者に投与する治療法(CAR-T療法といいます)の開発に取り組んでいます。このCAR-T療法は既に米国で臨床応用され劇的な治療効果をもたらすことがわかっています。本研究が進み日本でも臨床応用されることが期待されています。免疫グループでは一つの遺伝子変異から引き起こされる生まれつきの免疫異常の病気のiPS細胞を作成し、血液に分化して病態の解明・治療法の開発に取り組んでいます。・CAR-Tによるがん免疫療法の開発、臨床応用・iPS細胞を用いた原発性免疫不全症の病態解明と新規治療法の開発・ 臨床研究(神経疾患における免疫学的解析、造血幹細移植患者における腎機能、自律神経機能への評価、若年性皮膚筋炎における肺疾患合併の特異的抗体の評価)基礎的な研究を通して、病態解明や治療法の応用により根治的になりうる治療法の開発やこどもの長い将来を見据えたより安全性の高い治療への礎となる研究を行っております。また小児医療の発展に貢献できるエビデンスを蓄積し発信する目的で、多くの臨床研究も各専門グループで行っております。明日につながる研究に全力に取り組んでいます。教室では常に疾患の本質、病態を考えながら研究しており、教科書的な理解から本質をとらえた真の理解する力がつきます。考える力をつけることでその先の臨床医や研究者として大きな飛躍が期待できます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像小児医学(教授 中沢洋三)【CAR-T療法】CAR遺伝子の導入には当教室が開発した非ウイルス遺伝子導入法が用いられています。この方法は低コストで簡単な遺伝子治療を実現可能とするため、国内外から高く評価されています非ウイルスベクターでの人工の遺伝子を導入する装置です多職種連携による質の高い医療の提供子どものこころ診療部(チーフ:診療教授 本田秀夫)精神医学長野県の小児精神医療の中核的医療機関として、行政や地域の精神科・小児科をはじめとする医療機関、学校・教育センターなどの教育機関、児童相談所・情緒障害児短期治療施設などの福祉機関と連携し、子どもたちを様々な側面から治療・支援しています。臨床研究、疫学研究、基礎的研究など、多岐にわたる分野の研究をおこなっています。・アンガーマネージメントプログラム開発・ 母子保健情報を活用した子どもの精神健康問題の早期発見と早期支援-長野県岡谷市における悉皆的コホート研究-・注意欠如・多動症と関連するバイオマーカー研究・自閉スペクトラム症の睡眠に関する研究・ 発達障害児者等の地域特性に応じた支援ニーズとサービス利用の実態の把握と支援内容に関する研究(厚生労働科学研究費補助金研究事業)発達障害をはじめとする子どもの精神健康問題の早期発見と早期支援の体制づくりを目指した研究をすすめています。研究成果が教育行政施策に反映され、支援体制が整備されることが期待されます。診療部での臨床・研究・後身の指導、県内協力病院勤務、精神保健福祉・児童福祉関係の行政機関や施設勤務などの選択肢があります。研究機関への留学、就職も可能です。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像グループミーティングソーシャルスキルトレーニング    研究成果の学会発表    (ソウルにて)免疫疾患患者からのiPS細胞を作製し、血液への分化誘導にて病態を評価しています

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