医学科研究紹介_2017-2018
18/47

17暗黒の臓器“胆膵”への挑戦胆膵 班(チーフ:助教 渡邉貴之)内科学第二IgG4関連疾患は、臓器腫大、壁肥厚、結節形成を来す全身性の疾患であり、ステロイド治療が著効します。当科にて血清IgG4が高頻度かつ特異的に上昇することを発見し、血清学的所見、画像所見、病理組織学的所見に加え、多岐にわたる臓器病変、長期予後などをこれまで多数報告し、世界に発信し続けてきました。IgG4関連疾患の膵・胆道病変である自己免疫性膵炎・IgG4関連硬化性胆管炎を中心に、現在もIgG4関連疾患の病態解明や適切な治療法の確立に向けて更なる検討を続けています。他の胆膵疾患に関しても多岐にわたり、臨床研究を行っています。・IgG4関連疾患:自己免疫性膵炎、IgG4関連硬化性胆管炎など・膵疾患:膵癌、急性膵炎、慢性膵炎など・胆道疾患:硬化性胆管炎、胆管癌など・胆膵内視鏡手技:適正なERCP関連手技、EUS関連手技の検討など膵癌や胆管癌との鑑別が容易でないIgG4関連疾患の膵・胆道病変である自己免疫性膵炎・IgG4関連硬化性胆管炎は、未だ癌を否定できず切除する症例が少なからず存在します。臨床上最も迅速かつ確実に鑑別すべき癌との相違点を明確にし、適正かつ迅速な診断、治療ができるようになるよう日々検討をしています。膵癌死亡者数は年々増加傾向であり、現在、肺、大腸、胃に次いで4番目に多い癌です。しかし、未だに早期発見できるマーカ・画像所見や発癌因子も明確ではありません。今後研究、臨床共に重要な領域です。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像内視鏡的逆行性膵胆管造影:胆道、膵臓へ内視鏡的検査、処置を行うIgG4関連疾患の膵・胆道病変(自己免疫性膵炎・IgG4関連硬化性胆管炎)の各種画像所見腎臓のtotal careをおこない、次世代の腎臓医療を創造する!腎臓 班(チーフ:准教授 上條祐司)内科学第二腎機能異常や尿蛋白は、例え軽度でも、将来的に腎不全に進展する危険因子です。さらに、心血管系病(心疾患、脳血管疾患)を起こす最も重要な危険因子であることが明らかとなり、“慢性腎臓病(CKD: chronic kidney disease)”という疾患概念が提唱されました。信州大学腎臓内科では、CKDの原疾患である腎炎、免疫異常、生活習慣病(高血圧、高脂血症、高尿酸血症、糖尿病など)の精査治療・全身管理および、血液透析・腹膜透析・腎移植といった腎代替療法に至るまで、CKDに対する総合的医療を実践しています。幅広い臨床経験から生まれる疑問に基づく病態解明、治療につながる臨床研究や、基礎医学教室と協力した基礎研究などを若い力で行っています。・腎臓病における脂肪酸代謝に関する基礎研究・慢性腎臓病における骨ミネラル代謝異常に対する研究・ 慢性腎臓病における心血管病発症機序および新規バイオマーカーの開発・慢性腎臓病における新規残腎機能バイオマーカーの開発・透析患者における潜在性結核に関する研究・慢性腎臓病や急性腎障害のリスク因子に関する研究・腎生検病理と予後との関連性についての研究・ 新たな血液浄化療法(高効率on-line HDFやDC-KARTなど)の有効性に関する検討末期の腎不全となり透析療法を必要とする患者さんは、およそ年間4万人います。腎臓病に対する治療法はいまだ十分とは言えず、研究により改善できる余地はたくさんあります。また、透析療法となった患者さんが、より長期間、元気に過ごせるようにするのも我々の役割です。実臨床に携わりながら、これらを達成することができます。腎臓内科では、内科的知識のほか、病理学、関連する手技、研究的スキルなど、一通りを身につけることができます。さらにその中で自分の得意分野に対して、極めていくことが可能です。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像若い力で診療、研究がんばっています!バスキュラーアクセス作製術なども実践定期的なカンファレンスで意見交換

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る