医学科研究紹介_2017-2018
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14基礎から臨床までの幅広いアプローチにより、医療に役立つ医薬品情報を創出する医療は日々進歩していますが、倫理的な問題や入手の困難さなどから、ヒトの胎児や脳などの薬物動態および薬物応答機能については研究が進んでおらず、多くが未解明のままです。また、医療現場では誰もが知っている副作用や相互作用でも、原因や機序が不明のものが数多く存在します。私たちはそのような難問に、細胞や組換え酵素を用いた基礎研究、患者さんの検体を用いた臨床研究、患者さんの医療情報やビッグデータを用いた調査・疫学研究など様々なアプローチから取り組み解明していくことによって、質の高い医療・医薬品情報の提供と患者さんの生活の質の向上に寄与することを目指しています。・ヒト胎児肝細胞を用いた薬物代謝と薬物応答機能に関する研究・ヒト中枢神経細胞を用いた薬物脳内動態モデルの構築に関する研究・薬物代謝酵素を介した薬物間相互作用に関する研究・医薬品副作用データベースを用いた薬物間相互作用に関する研究胎児の研究は妊娠中の薬の安全性を評価する貴重な情報となります。脳の研究は薬物応答性の個人差の原因を明らかにすることにつながります。薬物間相互作用の研究は相互作用が引き金となって起こる副作用を回避することができ、医薬品の適正な使用に貢献できます。また、薬物間相互作用の起こりにくい医薬品の開発にもつながります。当研究室で研究を学んだ学生の多くは、卒業(修了)後、医療現場で医師・薬剤師として活躍しています。また、製薬会社の薬物動態研究所の研究職を目指すこともできます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像分子薬理学(薬剤部)(教授 大森 栄)胎児肝臓における薬物の代謝と応答性脳における薬物代謝酵素P450と中枢作用薬の関係医療の根幹は『人』人を育てれば、医療はもっとよくなる21世紀に入り、医学教育は、・ 「経験・勘・根性」から、心理学や行動科学などの理論に基づいた「計画的デザイン」へ、・ 教育者が知識を注入するだけの「受動的活動」から、自ら学び成長し続けられる医療者を育成する「主体的活動」へ、といった変革を迎えています。私達は、良質な医療人を育成するために、最先端の医学教育学を医療専門職育成の場に導入する実践活動や研究に取り組んでいます。・医療従事者の地域啓発活動への関与・カリキュラム改革が学生に与える影響・新たな協調学習、アクティブラーニング手法の開発・診療参加型臨床実習における知識・技能・態度の総合的評価手法・ オンライン学習環境を組み合わせたグループ学習カリキュラムを構築し、学生がより意欲的に授業に参加できるようになりました。・ 医療従事者が地域啓発活動に参加することで得られた成長を明らかにすることで、活動の充実と活性化に寄与しました。・ 県内企業と試験問題管理システムを共同開発しました。・ 医学教育学全般の知識を得ることで、自身および自施設の教育活動を分析し、改善することができるようになります。・ 量的・質的研究手法を修得して、教育・臨床研究に活用することができます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像医学教育学(教授 多田 剛)多職種連携教育プログラムの参与的開発研究(写真:医学科・保健学科生によるロールプレイ)県内医療機関との強固なネットワークを生かして、さまざまな分野での医療者教育研究も行う(写真左:高校生の体験会、右:臨床研修現場)

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