医学科研究紹介_2017-2018
12/47

11宝を目指し、いざ大海原へ我が国では年間10,000人以上の小児が川崎病を発生します。多くの場合、治療が奏功しますが、少数の小児で心臓に冠動脈瘤が出来ます。川崎病の原因は不明で、近年遺伝的背景が重要な要因と考えられています。私たちの教室では川崎病の遺伝的背景の解明を目指して、日夜研究を行っています。得られた研究成果は川崎病治療の改善や診断に役立てられます。その他、下記にありますように、いくつかの研究テーマで研究しております。・川崎病の遺伝的背景の解明・サイトカイン・増殖因子シグナル伝達の解明・リンパ球の増殖・分化調節の解明・ウイルス発がんの解明研究内容で述べましたが、研究成果は川崎病の治療や診断に直接つながるものです。医学研究の醍醐味は、この様に人々の健康に直接寄与することが出来ることです。これまでの卒業生は大学の研究者をはじめとして、企業の開発・研究部門で活躍しております。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像免疫・微生物学(教授 竹下敏一)教室のメンバーサイトカイン受容体の小胞輸送イムノグロブリンの抗炎症作用と川崎病免疫の仕組みは、どうやって作られ、正しくはたらくのか日々健康に生活する上で欠かせないのが、私たちの身体が備える「免疫」というしくみです。免疫はちょうど良い程度に働く必要があります。実際にその反応が弱ければ感染症や癌にかかりやすくなりますし、逆に強すぎてもアレルギーや自己免疫疾患といった病気につながります。私たちの研究室では、免疫の仕組みを理解するため、免疫の働きを担ういろいろな細胞が生まれてくる仕組み、正しく働くための調節の仕組みの研究を行っています。こういう研究は、様々な疾病のより良い予防や治療に繋がる可能性があります。・ 免疫細胞の遺伝子をタイミング良くスイッチオン・オフする転写因子の研究・ 免疫細胞の機能を発揮させるためのいろいろな信号を細胞の中でやりとりする「シグナル伝達分子」の研究いま免疫学の世界では、がんやリウマチを代表とする免疫疾患の新しい治療法が次々と生みだされています。また、免疫系と私たちの腸や皮膚に共生する細菌との相互作用と健康の関係も大きな話題になっています。免疫のより良い理解は、病気の診断、治療の進歩だけでなく、人間が健康を保つ手段にもヒントをもたらしてくれます。免疫学の基礎をしっかりと身につけ、医療の世界に進んだ後にも、なぜ?どうして?と問い続ける姿勢を身につけた医師を目指してほしいと考えています。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像免疫制御学(教授 瀧 伸介)図1. フローサイトメトリー技術によって免疫細胞集団を分別して解析(マウス脾臓のデータ、黄色:好中球、水色:単球、緑色:マクロファージ、桃色:樹状細胞)図2. ある遺伝子を人為的に破壊した変異マウスの腸管上皮層内のTリンパ球集団(黄色:TCRαβ型T細胞、水色: TCRγδ型T細胞)。右の変異マウスでは、TCRαβ型T細胞が消失している野生型マウス変異マウス

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る