2018環境報告書
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6は、学校経営の中でのESDの推進について、学校現場での実践に基づくご講演がありました。まず学校の先生が「幸せ」に取り組むことができないと学校全体でESDを推進することはできないとの問題意識から、教職員の働き方改革を推進された経験には、多くの学校関係者が共感していたようです。10月28日には、教育学部キャンパスにおいて、『長野地域ESD研究会「新学習指導要領とESD授業づくり」』(主催:中部地方ESD活動支援センター、共催:信州ESDコンソーシアムほか)が開催されました。この研修会はおもに学校関係者を対象としたもので、文部科学省教科調査官渋谷一典先生の「新学習指導要領とESD授業づくり」の講義に始まり、県内小学校の実践事例紹介、グループに分かれてのワークショップが行われました。今年度から順次、実施されている新学習指導要領では、「持続可能な社会の創り手」という表現でESDが随所に散りばめられています。参加者は研修会を通じて、ESDの概念や手法を踏まえた授業づくりの持つ可能性を実感していたようです。学校現場でESDを推進するためには、一部の担当教員だけでなく、すべての教職員がESDについて理解を深め、学校全体で取り組んでいくことが重要です。そこで山ノ内町の各小中学校で4回にわたって、目白大学の石田好広先生を講師に招いて、カリキュラムにESDの視点を取り入れるための実践的な研修会を開催しました。研修会ではESDについての講演のほか、総合的な学習の時間のカリキュラムやESDカレンダー6を構想するワークショップを行いました。この研修会を通じてESDへの理解を深めた各学校では、実際に平成30年度に向けてESDカレンダーを見直すなどの動きがはじまりました。1 持続可能な社会づくりの担い手を育むことを目的とした教育のこと。環境、貧困、人権、平和、開発といった、地球環境や人類社会の持続可能性を脅かす様々な課題を、「各人が自らの問題として主体的に捉え、身近なところから取り組むことで、それらの問題の解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらし、もって持続可能な社会を実現していくことを目指して行う学習・教育活動」のこと(持続可能な開発のための教育に関する関係省庁連絡会議 2016)。2 ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)と連携しながら、アジア太平洋地域において教育協力、人物交流、文化協力などの地域協力事業を行っている機関。3 ESD活動の支援を行う官民協働プラットフォーム。1つの全国センターと8つの地方センターが設置されている。『我が国における「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するグローバル・アクション・プログラム」実施計画』(持続可能な開発のための教育に関する関係省庁連絡会議 2016)において、 ESD推進ネットワークのハブ機能を担う組織と位置づけられている。4 地層、岩石、地形、火山、断層など地質学的な遺産を保護し、研究に活用するとともに、自然と人間とのかかわりを理解する場所として整備し、科学教育や防災教育の場とするほか、新たな観光資源として地域の振興に活かすことを目的としたユネスコのプログラム。世界で140地域が認定されており、このうち日本では9地域が認定されている(2018年4月現在)。このほか国内制度として、日本ジオパーク委員会が認定する「日本ジオパーク」があり、ユネスコ世界ジオパークに認定されている9地域を含めて43地域が認定されている。5 ユネスコ人間と生物圏(MAB: Man and the Biosphere)計画に基づく、生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的としたプログラム。世界で686地域(2018年7月現在)が登録されており、このうち日本では9地域が登録されている。もともとは生物圏保存地域(BR: Biosphere Reserves)という名称だが、日本ではより親しみのある呼称として「ユネスコエコパーク」を採用している。6 ESDに関連する各教科・単元のつながりを分かりやすく示した年間学習指導計画。

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