2018環境報告書
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31修士論文総合理工学研究科 農学専攻 沢田 葵02環境への取り組み 赤果肉リンゴ新品種育成に 向けた効率的育種法の開発赤果肉リンゴの新品種を効率的に育成するために、タイプ2の赤果肉品種‘ピンクパール’の交雑後代を育成し、これらの交雑後代における果実形質や果実形質に関連するDNAマーカーについて解析した。‘レッドゴールド’בピンクパール’交雑後代(RG×P)を材料として用い、タイプ2の赤果肉原因遺伝子であるMdMYB110a周辺に設計した7種類のSSRマーカーを検討した結果、 LG17_22.63マーカーはタイプ2の赤果肉品種・系統に特異的な対立遺伝子393 bpを増幅し、MdMYB110aの有無を効率的に判別可能なDNAマーカーであることを明らかにした。当研究室では、この組合せの中から、育成後17年を経て、‘レッドパール’と‘いなほのか’の2品種が新たに種苗登録されている(図)。これらの交雑後代において、10月中旬に評価した葉柄の着色(アントシアニン発現)程度は、果肉色と有意な正の相関を示したことから、10月中旬の葉柄の着色程度によって果肉の赤さやアントシアニン含量を推定できるものと推察された(図)。また、その原因遺伝子であるMdMYB110a遺伝子が発現していることも確認された。修士論文総合理工学研究科 繊維学専攻 舟田 眞子 アルギン酸マトリックスに 鉄粉末と活性炭を内包させた 複合材料による土壌浄化法の開発近年、土壌汚染が顕在化し、社会問題となる事例が増加している。土壌汚染の浄化対策法として、客土や土壌洗浄などが挙げられるが、コスト、持続可能性、生態系への影響などの点でいずれも問題がある。そこで、海藻の成分であるアルギン酸ナトリウムゲル内に活性炭と鉄粉を混ぜ込み、フリーズドライ後、粉体とした新規材料(Fe/AC/alg)を開発し、多環芳香族化合物による土壌汚染の浄化に利用した。汚染土壌とFe/AC/algを混合することにより、Fe/AC/algに含まれる活性炭が多環芳香族化合物を吸着する。混合後、磁石を近づけることにより、Fe/AC/algに含まれる鉄粉の作用により、土壌からFe/AC/algを取り除くことができ、浄化が達成される(図1)。この手法により、道路端土壌から二週間で75%の多環芳香族化合物を除去することに成功した。この方法は環境に大きな負荷を与える材料を用いておらず、生態系への影響も低いと考えられる。また非常に簡易であり、種々の有機汚染物質による土壌汚染に対応できると考えられる。Mako Funada, Takeshi Nakano, Hiroshi Moriwaki. Removal of polycyclic hydrocarbon from soil using a composite material containing iron and activated carbon in the freeze-dried calcium alginate matrix: Novel soil cleanup technique, Journal of Hazardous Materials, 351 (2018) 232-239.図1 Fe/AC/alg粉体による土壌汚染浄化のモデル図‘レッドパール’、収穫期:9月上旬‘いなほのか’:収穫期:9月下旬修士論文・卒業論文2-1 環境教育修士論文

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