保健学科_研究紹介2017-2018
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―7―看護の基本を学習する患者さんの生活の質向上を目指して みなさんも、病院で採血を受けたり、血圧を測ってもらった経験があるのではないでしょうか。 基礎看護学では、看護師が行う医療行為や日常生活援助の基本を学びます。患者さんは入院することにより、家とは違う環境で生活することになります。患者さんが、病気を持ちながらも、自分らしく生活していけるような看護を考えましょう。 興味がある研究分野は、糖尿病患者さんのフットケアです。大学院では、糖尿病合併症である足病変の予防的フットケアについて研究しました。その他にも、訪問看護の現場で男性看護師が働きやすくなるための研究も行っています。 糖尿病と診断されても、食事や運動といった生活習慣を見直しながら治療を受けることで、重症化を防ぐことができます。 患者さんが足の自己管理を行うことによって、糖尿病足病変を予防することもできます。 患者さんが糖尿病と上手く付き合いながら、生活の中で自分らしくいられるような手助けができる研究を行っていきたいです。 私は、看護の基本は「人を思いやる気持ち」だと考えます。大学生活の中で、多くの人と出会い、様々な経験をしてください。多くの経験から、人を思いやる気持ちが育ち、患者さんの気持ちに寄り添える看護師になれることを期待しております。基礎看護学研究から広がる未来卒業後の未来像何でだろう、どうしてだろうどうしたらもっと楽になれるだろう 昭和62年に信州大学に来てから、消化器外科、中でも肝臓移植の臨床を中心に研究してきました。大学生の頃、外科の大教授から「あと20~30年もするとおそらくガンに対する手術療法は減って、薬による治療に変わるだろう。そのあとに残る外科は、先天性の奇形、交通事故などによる外傷、そして臓器移植だ。」とおっしゃられたのを聞いて移植に興味は持ちましたが、信州大学に来て実際に肝臓移植に携わるようになるとは思いもよりませんでした。一方で、卒後30年経ちましたが、癌に対する最も効果的な治療法は相変わらず手術であり大教授の予想は外れました。患者さんの治療以外には、医療連携や患者相談、そして今は看護学生や看護師の教育にも携わったりしています。昭和53年上田高校卒業昭和59年東北大学卒業昭和59年岩手県立中央病院昭和62年信州大学外科市立大町総合病院、松代総合病院、国立長野病院勤務平成27年医学部保健学科 医療の分野では直接患者さんの病気の治療に役立つことから、広く地域の患者さん、世の中の人の健康に関することまで、それこそミクロからマクロまでいろいろなところで、様々な関わりを持つことができます。そんな中で、常に疑問を持つことを忘れず、そしてその解決法が何かないか考えていると、いつかその答えが得られると思います。 看護学専攻を卒業して、病院の看護師として、訪問看護師として、地域の保健師として働いていく中で、常に、どうしてだろう、どうしたらもっといいんだろうと、考えていると、今とは違う方法、もっといい方法が見つかると思います。成人看護学研究から広がる未来卒業後の未来像生体肝移植の一コマ。患者さんの肝臓は摘出し、提供者からもらっていた肝臓の動脈を顕微鏡を使って縫っている。採血演習前の実習室の様子腕モデルを使って採血の練習をするグリーンリボンは世界的な移植医療のシンボル足をお湯につけている血圧を測定している地域包括ケアシステムの概念を示す鉢植え出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「<地域包括ケア研究会>地域包括ケアシステムと地域マネジメント」(地域包括ケアシステム構築に向けた制度及びサービスのあり方に関する研究事業)、平成27年度厚生労働省老人保健健康増進等事業、2016年池上 俊彦 教授日本赤十字北海道看護大学卒業。信州大学大学院医学系研究科保健学専攻博士前期課程修了。松本短期大学看護学科非常勤助手を経て、2015年医学部保健学科に着任。上原 文恵 助教看護学専攻基礎看護学領域看護学専攻成人・老年看護学領域

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