保健学科_研究紹介2017-2018
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―30―理学療法学専攻物理的エネルギーを用い、どのように治療を行うのかについて研究を行う 物理療法とは、理学療法士にとって重要な領域の一つになります。しかし、物理療法を効果的に用いるためには、エネルギーのコントロール方法を理解し、標的組織にエネルギーを届ける必要があります。 これを“dosimetry”と言い、この20年の間、物理療法の中の温熱療法、電気療法、機械的な刺激を用いた療法の“dosimetry”についての研究を行なっています。 Dosimetryの研究結果は、臨床で治療を実施する際、ガイドラインとして使用できる治療モデルを発展させるためには非常に重要なものになります。 臨床ガイドラインがなければ、どのような治療をしても良い治療効果を引き出すことは困難になります。 卒業後、多くの学生が県内外の病院や医療施設に就職します。 その後数年の臨床経験の後、大学院に進み、研究活動に取り組む卒業生もいます。応用理学療法学研究から広がる未来卒業後の未来像赤外線サーモグラフィーカメラを用いた超音波の研究風景ウサギの大腿骨内に埋め込んだカーボンナノチューブ複合アルミナセラミックスの組織像(1年半)骨内に有害反応なく納まっている。理学療法学専攻新規生体材料の開発・評価と骨軟部腫瘍の解析 整形外科では関節や骨の疾患に対して、人工関節や人工骨、骨固定材料を用いて治療を行います。治療のためにヒトの体に手術で埋め込む素材を生体材料と言います。さらに安全性、治療効果、耐久性に優れた生体材料を開発するため、工学部、繊維学部、医療機器メーカーなどと協力して作成した材料の生体安全性評価を行っています。 また、整形外科医として主に骨軟部腫瘍(「骨肉腫」(骨にできるがん)など)の治療にも従事しています。骨軟部腫瘍についてその治療成績、手術切除範囲、手術後のリハビリテーション・機能、腫瘍切除後の再建方法、骨軟部腫瘍のための「がん教育」についての臨床研究も行っています。信州大学医学部医学科卒業。同大学院医学系研究科博士課程修了。日本整形外科学会専門医。信州大学医学部附属病院リハビリテーション部より2015年に保健学科へ着任。青木 薫 准教授シンガポール出身。ニュージーランドで理学療法士資格取得。シドニー大学修士課程、カーティン工科大学博士課程修了。信州大学医療技術短期大学部を経て、2001年より医学部保健学科。Goh Ah-Cheng 准教授 人工関節手術や脊椎固定術などを行った患者が、年齢を重ねた際に生体材料の寿命が先に来てしまうと患者の活動性が低下したり、危険の高い入れ直しの手術が必要となります。高機能な新規生体材料の開発により、健康寿命の延長につながることが期待されます。 骨軟部腫瘍の治療においても、患者の命を救うことは当然として、その治療後の日常生活機能が維持できることを目指しています。 当専攻では卒業時に国家試験に合格すると理学療法士の資格を取得することができ、病院、診療所、施設などで働くことができます。卒業後、大学院に進学してさらに深い研究を行い、医療の発展に貢献していただきたいと思っています。応用理学療法学研究から広がる未来卒業後の未来像赤外線サーモフラフィーカメラを用いた超短波の研究風景写真赤外線サーモグラフィーカメラを用いた超短波研究での組織温度イメージ右肩の悪性軟部腫瘍の術後の患者さん。傷は良好に治っているが、腕の挙上制限が残っている。肉腫について、子供たちにも分かりやすいようにマンガを用いた肉腫を紹介するパンフレットを作成中。 (()) 2015 (1)

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