保健学科_研究紹介2017-2018
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―26―検査技術科学専攻コンピュータの目で見る細胞診断と細胞周期に関連するタンパク質 病気の部分より採取した細胞を顕微鏡で観察して、疾患の診断を行うのが細胞診断(細胞診検査)です。細胞診検査は、高度な医学知識と診断のためのトレーニングが必要で、細胞診検査を行う事が出来るのが臨床検査技師(細胞検査士)です。活躍の場は、病院や研究所などさまざまな医療機関になります。当研究室では細胞検査士養成施設への進学率が高いのも特徴で、将来、細胞検査士になる為の基礎知識を学びながら、人の眼だけではなく、コンピュータによる細胞判別や免疫組織化学という高度な技術を使った研究を行っています。 悪性腫瘍は現在の死亡原因の第一位であり、その治療は早期発見に大きく作用されます。細胞診検査は悪性腫瘍の早期発見に大きな役割を果たしています。しかしながら、人の目による判断では病気の特定が難しいこともあり、コンピュータの目を用いた診断技術の開発や免疫組織化学といった最新の技術を駆使することで、将来病気の診断精度が大きく向上することが期待されます。 臨床検査技師や細胞検査士(就職後、1年の実務経験もしくは細胞検査士養成コースにて取得する資格)として病院、検診施設、製薬会社などに勤務することができます。また、大学院へ進学することで国内外の第一線の研究機関で研究者として活躍することができます。病因・病態検査学研究から広がる未来卒業後の未来像細胞を解析するためのコンピュータシステムReal-time PCR装置遺伝子の増幅過程をリアルタイムで可視・定量化する装置。mRNAの発現解析に使用検査技術科学専攻ゲノムを臨床検査へ…治療につながる遺伝子検査の開発 医療における遺伝子解析技術は、病気の診断だけでなく、治療への貢献度も高く、近年目覚ましい発展を遂げています。その一方、解析コストが非常に高く、日常検査への普及にはまだまだ時間を要するのが現状です。 そこで、私たちは、難病指定の特発性肺線維症や、患者数が多い頭痛、高齢化で増加する心房細動などの様々な疾患に関連する遺伝子をターゲットとして、高い感度と特異性を有する簡便な検査法の開発や改良を行っています。さらに、肺線維症では、治療ターゲットとなる候補遺伝子(microRNA)やタンパクの検索を目指しています。信州大学医学部保健学科卒業。同大学院修士課程・博士課程修了(博士・医学)。信州大学医学部附属病院で臨床検査技師として勤務し、2016年に信州大学医学部保健学科に着任。平 千明 助教北里大学大学院医療系研究科で細胞診検査に関わる研究を学び、その後細胞周期関連タンパク、細胞増殖因子、画像解析技術(テクスチャ解析、機械学習)を用いた研究を行っている。木村 文一 講師 私たちは、臨床の現場ですぐに役立つような遺伝子検査法の開発を目的として研究しています。この遺伝子検査を、心電図検査・超音波検査・呼吸機能検査などの生理機能検査と組み合わせて、新規の疾患鑑別法や治療法を構築することで、将来的にゴールドスタンダード(標準法)として、国内外で応用される可能性が広がります。 遺伝子解析技術は、医療において必要不可欠のツールとなっています。ゲノムを扱う上での技術と倫理観を習得することで、臨床検査技師として病院への就職だけでなく、企業や科学捜査研究所(科捜研)で働く道も拓けます。病因・病態検査学研究から広がる未来卒業後の未来像遺伝子の形質転換目的遺伝子を大腸菌に組み込んで、プラスミドDNAを作成ディスカッション風景実験結果の解釈や疑問点などを、その都度話し合う人体から採取した細胞や組織の染色風景悪性中皮腫の細胞像(パパニコロウ染色)

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