保健学科_研究紹介2017-2018
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―23―検査技術科学専攻脂質代謝異常の機序解明から健康生活をめざす 脂質は、活動のエネルギー源や細胞を作る材料の他にいろいろな体の調整機能に働いています。特に、脂質の分解物質(代謝物)は細胞の状態を知るための物質として注目されています。その多種多様な脂質分子を分析するために質量分析を用いて研究してます。 血液中の脂質濃度や組成の異常は動脈硬化症など生活習慣病の指標となります。脂質代謝異常症や糖尿病などの生活習慣病は社会的に大きな問題で未だ増加傾向にあり、現在、職種横断的なチームとして青少年や高齢者の生活習慣病改善・予防・教育の支援を行っています。 青少年の健康診断検査では、脂質代謝異常が十数%と頻度が高く、将来の生活習慣病への進展が懸念されています。一方、高齢者では、脂質の認知症との関連性が注目されています。脂質研究を早期診断マーカーや治療効果評価マーカーの検査として応用を目指します。研究の実用化へ、社会貢献へ! 長寿社会に突入してきていますが、如何に健康であるかは皆の願いです。脂質分子研究から社会貢献まで、ヒトの健康に貢献できる人材になってほしい。生体情報検査学研究から広がる未来卒業後の未来像脂質(リン脂質,中性脂肪,コレステロールエステル分子)の質量分析により多種多様な脂質(脂質プロファイル)分析大学院生の研究教員と学生で社会貢献ひらめき☆ときめきサイエンスでこども達と検査技術科学専攻細胞治療に生かす技術と検査法の確立 体の中には、病原微生物やウイルスなど外界の異物から自分を守る免疫監視機構が備わっています。免疫監視機構の破堤は、感染症を引き起こすだけでなく、がんの発生やその進展に関与している事がわかっています。現在この点に着目したがんに対する免疫療法が世界的に急速な勢いで発展しています。 当研究室では、がんに対する免疫療法の治療効果を判定するための細胞レベルでの検査法の開発や、どのような患者さんに免疫療法の治療効果があるかを予測するためのバイオマーカーの探索などの研究をしています。信州大学大学院医学研究科博士課程修了。信州大学医学部附属病院臨床検査部及び先端細胞治療センターを経て2015年4月から信州大学医学部保健学科生体情報検査学講座。樋口 由美子 助教東京薬科大学薬学部薬学科卒業 、静岡薬科大学大学院薬学研究科修士課程修了、信州大学病院検査部、ベーカー医学研究Visiting Scientist を経て、2003年より現職。日髙 宏哉 准教授 細胞治療とは、自分や他人の細胞を用いて疾患を治療する方法です。骨髄移植・末梢血幹細胞移植・免疫療法・再生医療が含まれます。近年この分野は急速に発展を遂げている一方で、細胞治療の専門知識を持った技術者はかなり不足しています。臨床検査技師はこの分野に非常に適していると考えられており、今後細胞治療分野での臨床検査技師のニーズは高まると思われます。 細胞培養、フローサイトメトリー解析、ELISPOT解析、ELISA法等の細胞を用いた実験手法を学び実践します。これらの技術の習得により、病院の臨床検査のみならず、今後需要が見込まれる細胞治療分野で活躍できる人材を育成します。生体情報検査学研究から広がる未来卒業後の未来像免疫学の実習風景実習により免疫学的検査法の基礎を習得細胞培養クリーンベンチを用いて、培養している細胞に微生物が混入しないように無菌操作を行うSDS-PAGEタンパク質の分子量の差を利用して分離するタンパク質分析法

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