保健学科_研究紹介2017-2018
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―22―検査技術科学専攻非侵襲的、且つ簡便な生体情報検出機器の開発と検証を目指して! 生理学、呼吸機能検査実習、医用電子工学、医用センサ工学の授業を担当しています。また、呼吸器内科専門医、アレルギー学会専門医として附属病院で外来診療をおこなっています。研究対象は呼吸器疾患および睡眠呼吸障害の病態ですが、繊維学部、工学部、一般企業と共同して、非侵襲的、且つ簡便に生体情報を得るための機器やシステムを共同開発しています。今、おこなっている共同研究としては、光電式容積脈波計を用いた連続血圧および血糖モニタ-装置、肺コンプライアンス測定装置、腕時計型睡眠構築判定機器、FBGセンサを用いた血圧、血糖測定装置の開発、膜型感圧センサシートを用いた在宅見守りシステムの開発などです。 今後は高齢化に伴い地域包括的ケアシステムの構築が進みます。その中で、非侵襲的に身体の情報が簡便に得られることによって、病気の早期発見や治療経過の観察、さらには健康の維持や健康増進のための1つのツールとなり、これが健康寿命延伸に繋がることを期待しています。例えば、腕時計型の機器でバイタルサイン、睡眠の質が日々データベースに蓄積され、ケアシステムで管理されるような時代が到来するのではないでしょうか。 卒業後は、臨床検査技師として地域の中核病院に勤務されることが多いですが、医療機器メーカーや臨床工学士の道を選ぶ人もいます。大学で学んだ知識と技能を生理機能検査や医療機器開発に生かし、医療の発展に寄与していただきたいです。生体情報検査学研究から広がる未来卒業後の未来像光電式容積脈波計を指に装着し、安静呼吸で肺気量を測定するだけで、簡便に肺の硬さ(動肺コンプライアンス)が分かる開発中の機器。これは世界で初の類を見ない取り組みである。脈波センサ(容積脈波)から得られる情報と応用Fiber Bragg Grating(FBG)センサの装着デバイスの医療応用への展開検査技術科学専攻蛋白沈着病の病態解明・簡便な早期診断法確立を目指して 生体内の蛋白質の構造が変化し、組織や細胞内に沈着する病気が蛋白沈着病で、代表的な疾患がアミロイドーシスです。 アミロイドーシスは、構造変化した蛋白質が、アミロイド線維とよばれる線維状蛋白となり、細胞外組織に沈着することで発症します。このアミロイド線維は、生理的には非常に排除されにくい蛋白で徐々に蓄積して様々な臓器の機能を低下させます。有名なアルツハイマー病も脳のアミロイドーシスです。当研究室では、患者さんの組織に実際に沈着しているアミロイド線維蛋白を取り出して、どのような機序で沈着するのかを研究したり、できるだけ発症早期に診断できるような診断法の確立を目指しています。信州大学医学部卒。信州大学大学院修了。米国インディアナ大学医学部病理学教室に留学。遺伝性アミロイドーシスの研究に従事した。専門は神経内科学。矢﨑 正英 教授信州大学医学部医学科卒業。信州大学医学部内科学第一教室に入局。医学博士を取得後、米国南アラバマ大学生理学教室に留学。内科学第一教室准教授を経て、2008年に現職教授となる。藤本 圭作 教授 アミロイド蛋白の沈着機序をさらに解明することで、沈着防止機構や新たな治療法のアイデアを世界へ発信できる可能性があります。 アミロイドーシスの簡便な診断法の確立は、患者さんの病気があまり進行していない時期に、正確な診断を下せるようになり、より早期の治療実現に役立てられるのではと思っています。 アミロイドーシスを含めた蛋白沈着病の多くは、いわゆる難病とされています。アミロイドーシスを研究することで、将来的に他の蛋白沈着病の病態解明研究を通じて、新しい診断法の確立、よりよい治療法の開発などにつなげていってほしいです。生体情報検査学研究から広がる未来卒業後の未来像心筋アミロイド腎臓沈着アミロイドアミロイド線維 ― 電子顕微鏡写真 Congo Red 5 m 200nm Congo Red 5 m 200nm Congo Red 5 m 200nm

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