保健学科_研究紹介2017-2018
16/40

―14―看護学専攻小児・母性看護学領域母と子の健康に役立つ情報発信~安心して妊娠・出産・育児できるために~ 生命誕生の瞬間に立ち会うことの素晴らしさに惹かれて産科医となり、妊娠・出産・育児に関する課題解決を目的に教育・研究を行っています。○科学技術の進歩により様々な出生前診断が可能となりましたが、後悔の残る選択や不安の増大に繋がる懸念も指摘されており、[検査の限界、倫理的問題点、ダウン症の方々の生活の現状など]も含めた適切で十分な情報提供を行える医療体制の構築に取り組んでいます。○子宮内の胎児が元気かどうかを評価することは極めて重要です。従来よりも簡便かつ安全に検査できる機器の開発に取り組んでいます。○母児に重大な影響を及ぼす妊娠高血圧症候群は、ヒトにしか発症せず、 発症原因も不明であるため、本疾患の病態解明に取り組んでいます。 現代医療の診断法や治療方針は、過去の研究成果の蓄積によって確立されています。しかし、現在の診断法や治療方針が最善なのかは、常に検証することが必要です。また、未だに原因不明の疾患や有効な治療法がない病態も存在します。従って新たな研究成果が、より有用な診断法や治療法の開発に繋がり、人類の幸福に貢献できる可能性があるのです。同時に、研究成果の倫理的な評価も重要な時代になっています。 医療職は、人の役に立っているという実感を得やすく、やりがいや生き甲斐を見出しやすい恵まれた職業です。その分、責任も大きく、生涯の学習が必要ですが、明確な目的をもつ学びは楽しく、成果も明瞭です。日々の努力の継続が明るい未来に繋がります。母性看護学・助産学研究から広がる未来卒業後の未来像看護学専攻小児・母性看護学領域臨床心理学と生命倫理学「考える」を大事にすると人生が変わる 初学者向けの臨床心理学(りんしょうしんりがく)と、専門科目としての生命倫理学(せいめいりんりがく)、ふたつの科目を中心に、その他関連科目のいくつかを担当しています。 このふたつの科目はどう関係があるかって? たぶん、なんの関係もありません(笑) たまたま、わたしが両方を専門にしているというだけです。しいていえば「〇〇つながり」です。さて、〇〇のなかにどんな文字が入るか、一緒に考えてみませんか? どちらの科目でも、知識を吸収する、すなわち「覚える」よりも「考える」を大事にしています。茨城県東海村生まれ。東北大学大学院教育学研究科の博士前期および後期課程を経て、東京大学で保健学博士を取得。1996年に信州大学着任。附属病院での臨床心理士を兼務。玉井 眞理子 准教授信州大学医学部医学科卒業。同大学医学部附属病院産科病棟医長、統括医長、講師を経て、2008年に医学部保健学科小児・母性看護学領域教授に着任。医学博士。附属病院遺伝子診療部兼務。金井 誠 教授 臨床心理学を学んでも、人の心がわかるようにはなりません。人の心がいかにわからないものかについて、少しだけわかるようになるかもしれません。 生命倫理学を学んでも、倫理的に正しい人間になれるわけではありません。なにが正しいのかについて考えることが、少しだけ苦痛ではなくなるかもしれません。 「少しだけ」ですが貴重な「少しだけ」です。 どんな職業につくとしても、あるいは職業につかずに生きていくにしても、臨床心理学や生命倫理学を学びながら考えたことは、「少しだけ」人生に役に立つはずです。そしてその「少しだけ」が、意外にも人生を豊かにしてくれる瞬間がきっとあります。母性看護学研究から広がる未来卒業後の未来像これが、だれかの、こころの風景だとしたら?図2.胎児心拍数モニター図3. 胎盤における   酸化ストレス因子の発現生命科学技術の進歩がたくさんの生命倫理学的問題を生み出している。『遺伝医療とこころのケア』『はじめて学ぶ生命倫理』『出生前診断とわたしたち』ほか著書多数図1.ダウン症ご本人(12歳以上)への全国調査 1996

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る