保健学科_研究紹介2017-2018
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―12―看護学専攻成人・老年看護学領域血液透析受療中の高齢者の在宅継続および通院支援に関する研究 血液透析受療中の高齢者とその介護者は、自助努力で長年週2~3日の血液透析受療のための通院をしながら在宅で生活を送っています。しかし認知症の発症や身体機能の低下により、在宅介護や通院のための介護の負担が大きくなります。血液透析受療中の高齢者は、介護が必要な状態になった場合、在宅での生活を継続するために通院手段の確保が不可欠です。そこで私の研究は、血液透析受療中の高齢者の介護状態に応じた、高齢者とその介護者の通院の困難さと対処法、ニーズの実態を明らかにすることが目的です。さらに透析ケアに携わる医療従事者用のケア支援策を考えたいと思っています。 当該研究は、高齢者にもたらされる様々な病気や加齢変化を引き金とし、認知症高齢者、要介護状態にある高齢者の介護上の課題や高齢者の尊厳、ケアの質を考えるきっかけにもなり、意義深いと考えます。また透析ケアの発展にも貢献できます。 老年看護学は、将来の高齢社会を支える看護師を育成する上での基盤作りの学びの場になると思います。老年看護学研究から広がる未来卒業後の未来像看護学専攻小児・母性看護学領域小児の脳脊髄炎の発症機序の解明とその治療法を探る 小児の予防接種後に発症する急性散在性能脊髄炎や成人の多発性硬化症などの脳脊髄炎の病態は現在でもよくわかっていません。 これらの疾患には実験的自己免疫性脳脊髄炎という動物実験モデルがあります。特別な種類のマウスやラットに自分の脳脊髄組織のタンパク質を免疫することでこの脳脊髄炎が起こります。マウスによって慢性進行性に経過する場合もあれば、1回発症して治り、再び発症して重症化する場合もあります。なぜいろいろな臨床経過をとるのかはよくわかっていません。 動物実験モデルを用いて脳脊髄炎の発症機序を明らかにすることができます。信州大学医学部医学科卒業医学博士。小児科医師。2001年信州大学医療技術短期大学部に異動。2002年から信州大学医学部保健学科教授。市川 元基 教授富山医科薬科大学医学部看護学科卒業。金沢大学大学院医学系研究科臨床看護学講座修了。看護師・保健師免許。長野赤十字病院・信州大学医学部附属病院で看護師として勤務後、教員へ。松井 瞳 助教 人間を含めた哺乳動物の免疫系の働きは複雑です。リンパ球などの白血球がどのようにして自分の脳脊髄組織を攻撃するのかがわかれば、脳脊髄炎を起こした小児への新しい治療法がみつかるかもしれません。 医療においてはまだよくわかっていないことがたくさんあります。Evidence based learningの考え方を身に付け、臨床における小さな疑問に向き合い、その解決法を探ることのできる医療人を目指しましょう。小児看護学研究から広がる未来卒業後の未来像実験的自己免疫性脳脊髄炎を発症するⅠ型糖尿病自然発症マウス技術チェックと多職種連携透析ケア脳脊髄炎を発症したマウスの腰部脊髄の病理組織像左の写真を強拡大したもの。白血球が脊髄組織に浸潤している。高齢者の尊厳を踏まえた看護ケアの実践

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