保健学科_研究紹介2017-2018
12/40

―10―看護学専攻成人・老年看護学領域時代の変化に対応した、これからの外来看護を考える 近年、人口の高齢化、慢性疾患患者数の増加、在宅医療の推進、平均在院日数の短縮化等により外来医療・看護の役割はより大切になっています。また、日帰り手術やがん化学療法などの高度な治療が外来でも受けられるようになりました。疾患を持ちながら地域で生活をしている患者さんは増えており、外来における質の高い看護の提供が求められます。看護学生は、このような「外来」という場で実習を経験し、在宅療養を行う患者さんの声に耳を傾け、思いを傾聴しながら医療人としてのスキルを身につけていきます。外来看護における専門性や独自性を学生が実習の中でどの様に捉え学んでいるのか、また、看護師として醸成していけるのかをテーマとした研究を行っています。 外来で働く看護師には、様々な知識やスキルの習得が必要です。外来において患者さんと関われるのはほんの数時間ですが、その中で患者さん・家族のニーズを把握し対応する能力が求められます。患者さんの生活の質が向上し、病と共に「その人らしい生活」を送れることが望まれます。外来看護の担う役割は大きく、本研究がそういった場で働く質の高い人材の育成に繋がっていくことを願います。 看護師に求められる能力の一つにコミュニケーション力があります。人と関わる仕事にはこの技術がとても大切です。コミュニケーション方法を看護技術の一つとして理論的に学び、自らの知識・スキルとして習得することができます。成人看護学研究から広がる未来卒業後の未来像患者さんは、療養上の問題点が解決する前に退院することが多くなり、 専門性の高い看護の提供が求められている。外来には、より専門性の高い「看護外来」が設置代表的な看護外来について看護学専攻成人・老年看護学領域チームは何のためにあるのか?-世界に誇れる高齢者ケアを目指して- 加齢とともに病気・障害のみでなく、日常生活において自分のことが自分でできなくなって支援を必要とする「要介護状態」になる人が増えます。高齢者が安心して安全・自立的に生活をしていくために、医療・看護のみでなく、保健・福祉・行政・地域住民などとの協働・連携によるサービス支援が必要となります。 現在、とりくんでいる研究テーマは、高齢者福祉施設スタッフや大学生を対象として、支援・サービスに必要となるチームワークのあり方を探求しています。また、深刻な問題となっている高齢者施設スタッフの離職要因や、感情労働からみた高齢者ケアスタッフの対人関係の課題などを明らかにしています。明治学院大学社会福祉学科卒業。聖路加看護大学大学院修士課程修了。東京医科歯科大学大学院博士後期課程修了(看護学博士)。東京女子医科大学、名古屋大学を経て、2015年に着任。會田 信子 教授富山大学大学院医学薬学教育部医科学専攻(危機管理医学講座・修士課程)を2010年に修了。2015年4月より信州大学保健学科看護学専攻に教員として着任。丹下 めぐみ 助教 高齢者ケアの現場は、認知症の人への対応の難しさから「キツい・危険」などと認識されているかもしれません。現場スタッフが協力し合いながら自信と誇りをもって働ければ、ケアの質が高まり、ケアを受ける高齢者もハッピーになり、さらに高齢者ケアの社会的価値も高まるはずです。世界に誇れる高齢者ケアの具現化に寄与していけるよう、一緒に老年看護学を学びましょう。 相手の苦悩に寄り添える人間力と問題の本質を追求していける探究心、チームで問題を解決していける行動力をもった看護職者が社会から求められています。専門知識のみでなく、幅広い教養を身につけ、他者と関わることの意義を見いだしていってほしいです。老年看護学研究から広がる未来卒業後の未来像デイサービスでの実習の振り返りの様子。協同学習によって、チームワークの重要性や、それに必要な態度・技術などを養う看護師対象の『認知症看護対応力向上研修』(日本老年看護学会主催)の様子。急性期医療を受ける認知症の人の認知機能を悪化させないよう、適切に対応できる看護師の育成が課題となっている

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る