保健学科_研究紹介2017-2018
11/40

―9―看護学専攻成人・老年看護学領域がんになっても、その人らしく生きていくための支援について考える 1年間に新たにがんと診断される人は、100万人を超えていると言われています。がんの治療は日々発展していますが、がん=死と捉え、ショックや悲しみを抱く患者様やご家族の方々も多くいらっしゃいます。また、治療を行う中でも、がん自体や治療によって様々な影響(身体症状や気持ち、家庭や仕事での役割、日常生活)を受けることになります。ただ、患者様はこれらの辛い、困難な状況に対して、自分らしい人生や生活を過ごしていくために、適応し回復する力があることも多くの研究で報告されています。私は、その力を見極め、引き出し、高めていくための支援の在り方や方法について研究しています。 がんについて、メディアや本、インターネット等を介した様々な情報を目にすることが多くなっています。ですが、がんと診断された人達は、「がんになった」ことで一般社会と切り離された感覚を抱くことも少なくありません。また、そのような患者様・ご家族を地域社会で支えるような仕組みもまだまだこれからです。がんになっても住み慣れた場所で生き生きと暮らせるような、そんな世の中にしたいです。 がん看護や緩和ケアを行っていく中で、患者様の背景や人生経験、価値観や信念に触れ、深く語り合うことが多くあります。自分の考えや意見はしっかり持ちながらも、そのような患者様の思いに関心を持ち、耳を傾け共感できる看護師となって欲しいです。成人看護学研究から広がる未来卒業後の未来像がん征圧イベントであるリレーフォーライフに毎年参加し、がんになっても自分らしく生きている患者のパワーを実感しているがん看護や緩和ケアに関連する専門書もどんどん増えているエンド・オブ・ライフケアや緩和ケアの研修の講師をして、自分自身も学んでいる看護学専攻成人・老年看護学領域慢性的な病をもつ人が、その人らしい生活をおくるための看護ケア 健康障害のある成人期の人(所謂おとな)を対象とした成人看護学を担当しています。救急医療および集中治療室における臨床経験があり、これまで集中治療室における看護特性の研究をしてきました。 現在は、がん・糖尿病・COPD(慢性閉塞性肺疾患)をはじめとする、慢性的な病をもつ人の看護に関心があります。現代では生活習慣病をまったく持たない健康な成人は少ないでしょう。一病息災、患者さんご自身が病と上手く付き合い、その人らしく生活を楽しむために必要な支援を研究しています。特に、病院やクリニックの「外来診療」の場で提供される看護をテーマとしています。長崎県立大学シーボルト校人間健康科学研究科修了(看護学修士)。2014年信州大学医学部保健学科看護学専攻に着任。北條 由美乃 助教神奈川県立保健福祉大学実践教育センター卒業、2009年新潟県立看護大学大学院修了、その後新潟県立看護大学助教を経て2016年より信州大学医学部保健学科に勤務となる。渡邉 千春 講師 看護学は若い学問領域のひとつです。社会学や教育学、心理学、哲学など様々な学問分野の成果が看護研究・看護実践に活かされています。  看護学を入口として周辺学問にも視野を広げ、その理論を看護研究に応用することでさらに看護実践の質が高められます。先達に学び、一歩ずつ前進していきます。 看護は対人関係の成立なくては、なし得ません。普段の生活では接することが少ない年代の方とも「看護」を通して繋がることができます。看護学を学ぶことで仲間の輪は全国に広がります。そして世界にも…成人看護学研究から広がる未来卒業後の未来像日帰りで薬物による治療を受ける患者さんに寄り添う。慢性的な病を持つ人が病院とつながっている「外来」における支援は重要。外来看護実習では病棟実習とリンクする多くの学びがある。

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る