保健学科_研究紹介2017-2018
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―8―看護の “what’s new and interesting” を探そう! 大学院では経済学の視点から看護ケアをどう評価するのか、という研究をしました。当時は看護が3K(危険・きつい・汚い)といわれていた時代でした。看護は病院に財をもたらす重要な資源として、その貢献度を試算し、数値で表すなど可視化することを考えました。教育の場では救命救急看護師の臨床実践力の獲得に関する研究、災害の急性期看護に従事した看護師のメンタルヘルスや災害教育に関する研究、潜在看護師育成に関する研究などをしました。今は看護学生がどう専門性を獲得していくのか授業を通し考えています。その中でシミュレーション教育の効果なども領域の教員や医学科の教員の力を借りながら検討をしています。 病院看護師の頃、新しいシステム導入でどの位効率的になり、手術件数がどのくらい上がるのか試算し、可視化しました。今では、設備されている病院が多いですが、当事で二千万円のコンテナーシステム(手術器械を滅菌したまま長期間保管ができ、緊急時にも対応できる)を導入してもらえました。効率も上がり、看護にとって有用な結果となりました。諦めず継続することで研究が役立つ時が来ると思います。 未来の看護の3Kは「感謝」「関心」「共有」だそうです。常に世の中の状況にアンテナを高く張り、“What’s new?”、“What’s interest-ing?”と「関心」を持ち行動することが他者との「共有」を生み、いつか看護への「感謝」をもたらす大事なkey wordになると思います。成人看護学研究から広がる未来卒業後の未来像手術後のせん妄の予防は、チーム介入の効果を測るものさし せん妄とは、環境に適応する力が弱まったときに出現する症状で、意識が少し曇ったような状態になります。せん妄の発症には、体の調子が悪くなったり、気になることがあったり、急に環境が変わったりすることが関わっているといわれています。せん妄には、いろいろな職種で多方面からのチームでの介入が有効といわれ、実際に効果があることもこれまでの研究で報告されています。 医療現場では様々な介入が行われていますが、依然としてせん妄への対応は難しいため、患者・家族と医療者にとってより効果的な介入方法はないか探したいと考えています。聖隷クリストファー看護大学看護学部卒業。同大学大学院看護学研究科成人看護学専攻を修了(看護学修士)。2010年に保健学科看護学専攻に着任。 せん妄への介入は、多職種での系統的な関わりが効果的であることが報告されています。しかし、医療機関によってケア内容も違うため、各事例から具体的な介入内容を集め、共通項を詳細にまとめていく地道な研究が必要です。これらによる系統的な介入のためのプロトコルとケア・プログラムの開発から、せん妄ケアの標準化につながることが期待できます。 体と心の両方の調子をみて必要な介入を考えるには、その人に関心を向けることが大事です。お友達との関わりなど、いろいろな人との関わりを通して感じたこと(感性)を大切にしてください。成人看護学研究から広がる未来卒業後の未来像せん妄ケアの構造図せん妄の予防・発症時でのケア介入のタイミングを示しているせん妄事例のデータ:認知機能と行動を得点化したもので、行動に関する症状が先行して出現し、次いで認知機能が低下している学内シミュレーション教育が附属病院災害訓練へ連動するOSCE:一次救命処置医学教育センターとの協働シミュレーション教育寺内 英真 講師2001年3月まで信州大学医学部附属病院看護師。同年4月から2010年3月まで新潟県立看護大学教授(学部:成人看護学、大学院:看護管理学) 2010年4月より信州大学医学部保健学科教授。深澤 佳代子 教授看護学専攻成人・老年看護学領域看護学専攻成人・老年看護学領域73347810101313111189911107171514192023024681012141618202224262830帰室後6時間後6時12時18時24時6時12時18時24時時間スコアNCS(行動)NCS(認知・情報処理)NCS(合計)ルートをいじる繰り返し聞く・訴える222222

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