工学部_研究紹介_2019_日本語版
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近広研究室研究から広がる未来卒業後の未来像道と道を繋ぐ「橋」。もしこれが災害でなくなってしまったらどうなるでしょう。復旧活動・救援活動と様々な活動場面に影響を与えてしまいます。当研究室では、災害に対する橋の防災・減災を対象に、①:迅速復旧可能な新しい橋の開発研究、②:地震に対する橋の上部工・下部工などの安全性評価を行っております。例えば、①では右図のように、橋を速く架設する手段の一つとしてシザーズ機構と呼ばれる展開構造物を応用した橋の開発研究や、②では橋脚内にコンクリート充填された鋼製橋脚の耐震性評価を行っています。シザーズ構造をはじめ展開構造物は、汎用的な構造物として、建築分野・航空宇宙分野としてたくさん利活用されていますが、土木分野における応用研究はまだ多くありません。本研究では、このシザーズ橋の動的問題・地震時挙動などを明らかとすることで現場安全性を評価しています。また橋本体だけでなく、鋼製橋脚などの耐震性の評価なども行っています。研究室の卒業生の進路は、官公庁・鉄道会社・建設会社など、多岐にわたっています。当研究室での学習・研究成果を活かし、橋の専業メーカーに就職する学生も大勢います。近広雄希助教広島県出身。広島大学大学院博士課程後期を修了後、2016年より現職。研究分野は橋梁工学、構造工学。現在は、橋の防災・減災や展開構造物の土木分野への応用などに興味がある。⾃然災害からどうやって橋を守る?2 nm⽔環境・⼟⽊⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード応急仮設橋・展開構造物・シザーズ構造体・地震応答解析【先生の学問へのきっかけ】小さな頃からものづくりが好きで、鳥人間コンテストやブリッジコンペディションなどのものづくりの大会を経て、今の橋梁工学の分野にめぐり逢いました。実際の橋の製作・架設現場を目の当たりにした際には、その圧倒的なスケール感が爽快で、この道を選んでよかったと思います。一方、ものを「作る」現場だけでなく、九州北部豪雨災害や台風12号による紀伊半島豪雨災害などのものが「壊れた」現場にも、被災地調査に同行する機会がありました。私は、身近な土木構造物だからこそ災害時になくなってはならない!と未熟ながらも強く感じ、それまでに学んできた学問を通じてどうにか自分でも貢献ができないかと思い、研究者を志しました。•災害後の橋の緊急架橋•災害後の橋梁の被害調査•展開構造物の橋構造物への応用•数値解析による耐震性能の評価•トラス化を意識したシザーズ型緊急橋の補強対策が耐震性能向上に与える影響(科研費:若手研究)•災害被災地への迅速架橋を目的としたシザーズ型緊急橋の耐震安全性評価(科研費:研究活動スタート支援)•Study of structural optimization and reinforcement of the Mobile Bridge(JSPS:二国間(日本-ポーランド)交流事業)•海外留学奨学生(公益財団法人浦上奨学会)特になし地震を受けて変形橋のモデル化・解析による予測自然災害による橋桁の流出橋などの道路網の損傷に対して、生存者・負傷者の迅速な救助・救援を可能とするためにも,新しい橋復旧システムが必要です。展開構造物を利用した折畳んだ状態で現場まで輸送できる「シザーズ橋」の開発研究鋼製橋脚の地震時挙動88

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