工学部_研究紹介_2019_日本語版
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研究から広がる未来卒業後の未来像鈴⽊研究室鈴木研究室では、手嶋研究室・是津研究室・林研究室と共同して、光触媒材料の研究に取り組んでいます。燃料電池自動車が公道を走り、次世代エネルギーとして水素が注目を集めています。しかし、現在は化石燃料から水素が作られているため、真にクリーンなエネルギーと言えません。太陽光で水を分解して水素を製造できれば、地球にやさしい真のクリーンエネルギーになります。当研究室では、フラックス法を活用して、太陽光に応答する水分解用の光触媒結晶材料を探求しています。独自技術として、光触媒結晶の形状や配向を制御する研究にも挑戦しています。光触媒を使った水分解の研究は、1967年の本多-藤嶋効果の発見から始まりました。それから50年が経過しますが、水分解による水素製造は実用化されていません。当研究室では、高品質な結晶材料が高い水分解性能を達成できると信じ、無機結晶のフラックス育成というコア技術を用いてソーラー水素製造に挑戦しています。フラックス結晶育成の知見を蓄積し、その応用の可能性を広げたいと思います。卒業研究では、どのような分野であっても、課題とその解決方法を考え、計画を立てて実験・評価し、次の研究計画を立てることが重要です。卒業研究を通して、課題解決に向けて考える力を養うことで、幅広い分野で活躍できると考えています。鈴木清香助教信州大学大学院総合工学系研究科修了、博士(工学)を取得。この間、日本学術振興会特別研究員DC2を兼任。2016年より現職。研究分野は材料科学、無機化学。フラックス法による無機結晶の育成~真のクリーンエネルギー創成を⽬指して~物質化学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード結晶材料・フラックス法・エピタキシャル成⻑・可視光応答光触媒・⽔分解【先生の学問へのきっかけ】小学校で環境問題について学習し、漠然と環境問題の解決の一助となるような仕事に就きたいと思い、信州大学工学部環境機能工学科に入学しました。学科には化学系と機械系の研究室があり、学部3年生の研究室配属のときまでどちらに進むか迷いましたが、ある先生の言葉から材料を作る研究がしたいと思い、無機結晶育成の研究室を選びました。大学での恩師との出会いやさまざまな仕合わせ(幸せ、めぐり合わせ)のおかげで、環境調和型プロセスでエネルギー・環境材料を作る研究に携わることができています。•フラックス法による酸化物、窒化物あるいはフッ化物結晶の育成•フラックスコーティング法による結晶層のビルドアップ形成•可視光応答光触媒・光電極の作製とソーラー水素製造•酸化物結晶のホモエピタキシャル成長・ヘテロエピタキシャル成長•層状化合物からのナノシート作製とその光触媒効果を利用した表面処理•フラックス法による酸化物結晶育成技術の深耕と大型光電極作製への挑戦(JSPS科研費若手研究B)•グリーンビルドアッププロセスによる高機能性ナノ結晶表面の創成(JSPS科研費特別研究奨励費DC2)•光触媒ナノ結晶による環境調和型表面改質手法の研究((財)東電記念科学技術研究所奨学金)•日本フラックス成長研究会会誌編集委員,庶務幹事•表面技術協会第135回講演大会実行委員受賞•日本フラックス成長研究会進歩賞(2016)•日本フラックス成長研究会優秀発表賞(2015)•表面技術協会第19回学術奨励講演賞(2013)•IUMRS-ICEM2012SymposiumAward(2012)•東北大学金属材料研究所附属金属ガラス総合研究センター第6回共同利用研究課題最優秀賞(2012)•IUMRS-ICEM2010BestPosterPresentationAwards(2010)他J. Flux GrowthVol.7, No.2 表紙NaTaO3結晶層のDFM像CrystEngCommVol.14, No.21 裏表紙NaTaO3結晶とTa3N5結晶の表面SEM像と結晶構造管状炉(左)でNH3ガスを流しながら加熱することで窒化物結晶や結晶層(右上:Ta3N5結晶,右下:Ta基板上Ta3N5結晶層)をフラックス育成します。フラックス育成したNaTaO3結晶。数百nmから数mmまでサイズを制御できます。単結晶基板を使った配向制御も可能です(左下・右下)。28

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