工学部_研究紹介_2019_日本語版
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研究から広がる未来卒業後の未来像表1.リチウム、ナトリウム、マグネシウムの地殻存在度など.電気化学的手法により作製した粗面化集電体(左図/添加剤濃度により任意に面粗度を制御可能).作製した粗面化基板上に合剤層(Sn活物質,結着剤,導電助剤)を塗布し得た電極を不活性雰囲気下でコインセルに組み込む様子(右図).これらを充放電試験により評価.清⽔研究室現在ではめっき技術や蓄電池は人々の生活に必要不可欠なものとなっています。近年注目を集めている再生可能エネルギーを有効活用するためには、“蓄電”が極めて重要となり、高容量かつ長寿命な電極材料の開発が求められています。私たちの研究室では電気化学・無機材料化学・溶液化学など多岐にわたる学問を駆使し、低炭素社会の実現に繋がる革新的な蓄電デバイスの創製に挑みます。清水研究室では蓄電池材料の開発を行っています。リチウム二次電池はその高いエネルギー密度から電気自動車用電源などの大規模デバイスに使用されていますが、これらの需要増大にともないリチウムの資源問題もその深刻さを増してきています。このような背景の下,リチウムに依存しない次世代蓄電デバイスとして,資源量が豊富であり原料の入手が容易なナトリウムやマグネシウムを用いた蓄電池の開発が求められています。当研究室では新井研究室とともに、めっき技術やカーボンナノチューブを積極的に活用し高性能蓄電池負極材料の創製に取り組んでいます。材料の特性評価には様々な分析機器が必要となり、それらを扱った経験は、卒業後に大きなアドバンテージとなります。めっき技術や蓄電池開発を通して学問の習得だけでなく、機器分析のスキルを身につけ研究開発において活躍できる人材を育成します。清水雅裕助教2016年3月鳥取大学大学院工学研究科修了、博士(工学)取得。この間、同大工学部附属GSC研究センター研究員(2013-2015)、日本学術振興会特別研究員DC2(2014-2015)を兼任。専門は電気化学、エレクトロニクス部品から蓄電池材料開発など、高機能性材料の創製に従事。低炭素社会実現に向けた次世代蓄電デバイスの開発物質化学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード蓄電池要素材料開発,反応解析CNT複合めっき,⽔系/⾮⽔系電析【先生の学問へのきっかけ】私は高校生の頃から漠然と「化学」に興味を持っていましたが、特にこれがしたいと思ったことはありませんでした。学部4年生のときに電気化学を扱う研究室に配属され、次世代リチウムイオン電池の材料開発とその中で起きている現象の解明を行うことになりました。それらの化学反応は目では到底見ることのできない極めて小さな世界で進行しており、「分子やイオンの動きを見ることができたらな」といつも強く思います。さまざまな分析機器を駆使して現象解明を行うことができたときの喜びは今も忘れることはできません。現在も電気化学に基づきエレクトロニクス部品から蓄電池材料の開発などを行っています。•蓄電池要素材料の創製(Li,Na,Kイオン電池/負極材料・集電体基板創製)•分光学的⼿法を⽤いた電極材料の反応解析(その場ラマン分光測定など)•CNT複合めっき法による機能性材料の創製(電気接点・熱伝導・接合など)•Li⾦属,Zn⾦属の析出形態制御(⾦属負極/EQCM解析など)•イオン液体の電気化学デバイスへの応⽤(⼆次電池電解液)●2018-2019年科研費若⼿研究「⾼性能⾦属空気電池の実現に向けたZnの析出形態制御」●2018-2018年公益財団法⼈池⾕科学技術振興財団研究助成「⾦属空気電池の⾼性能化に向けた亜鉛の析出形態制御」●2017-2017年⼀般財団法⼈新素材情報財団研究助成「銅/カーボンナノチューブ共析膜の電気化学的創製とリチウムイオン電池への展開」●2017-2017年公益財団法⼈村⽥学術振興財団研究助成「カーボンナノチューブ/スズ⾃⽴膜複合体の電気化学的創製とリチウムイオン電池への応⽤」●2017-2017年本多英五郎研究助成「溶媒和イオンのインターカレーションを積極的に利⽤した⾼速充放電可能な多価カチオン電池の創製」●2016-2016年本多英五郎研究助成「無電解めっき法を活⽤した⾼容量ナトリウムイオン電池⽤リン系負極の開発」●2016-2017年信州⼤学⼯学部若⾥会研究助成「めっき法による三次元多孔質銅集電体の開発とナトリウムイオン電池負極への展開」●2016-2017年科研費基盤研究B(代表:新井進教授、分担:清⽔)「カーボンナノチューブ複合めっき法を活⽤した新規リチウムイオン電池負極構造の構築」●2016-2017年科研費研究活動スタート⽀援「めっき法による三次元多孔質構造を有する集電体⼀体型ナトリウム⼆次電池負極の創製」●2015-2016年⽇本学術振興会特別研究員奨励費DC2「アルカリ⾦属イオン⼆次電池負極材料の創製とそれを活かす機能性界⾯の構築」●2014-2015年⿃取⼤学エンカレッジファンド「アルカリ⾦属イオン⼆次電池負極材料の創製」 ⽇本化学会中国四国⽀部主催の化学展に協⼒(2015年)関⻄電気化学サマースクール講師(2017年)⽇本分析化学会中部⽀部幹事(2018年-)表面1m断面Ar粗⾯化集電体の電気化学的創製とNIB負極への応⽤⾼性能⾦属空気電池に向けた亜鉛の析出形態制御27

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