経法学部研究報告紹介2017-2018
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21総合法律学科総合法律学科どのような行為が犯罪となるのかを学ぶ新しいライフスタイルを創造する生活文化産業としてのレジャー産業について考える 私の専門は、犯罪と刑罰に関する法律、「刑法」です。特に、他人の犯罪に関与する、という共犯の事例を中心に研究をしています。 社会で生きる多くの人々は、自分が犯罪をしないように、また犯罪をしようとする者と関わりを持たないように、心がけて生活していますが、ときには他人の犯罪に加担してしまう場合もあります。 例えば、食べ物を販売する、がんばれと誰かに声をかける―そんな日常でよくある行為をしただけなのに、結果として他人の犯罪に加担することになり、共犯となり得る場合もあるのです。私は、このような日常的な行為と、可罰的な共犯行為との線引きを明らかにするという研究に取り組んでいます。 いま日本は人生80年時代、生涯生活時間に換算して70万時間、うち生涯労働時間は7万時間の1割、かわって生涯自由時間は21万時間の人生の3割の時代を迎えようとしています。人々はワーク人生の充実に加えて、レジャー人生も充実したいと望んでいます。しかし、実際には人生の3割にも増えようとしているこの自由時間を人間らしく充実して生きている人は非常に少ないです。なぜなら、自由時間の増大が自己開発のレジャー人生に直接結びついていないからです。この自由時間を自己開発型のレジャー活動にいかに結びつけるかがレジャー産業の課題になっています。「時間とは」、「レジャーとは」という命題を明らかにしながら、これからのレジャー産業のあり方について探求しています。 犯罪は一人の者によって実現される場合(単独正犯)だけではありません。犯罪が、複数の者によって実現されるという場合も少なくないのです。法曹を目指す学生は、実務を理解するために、共犯事象の知識をも習得していくべきことになります。また、県庁等に就職し、政策立案といった、法律に携わる仕事をする場合には、単独正犯だけでなく、共犯事象も念頭において、政策立案の検討を行うことが必要不可欠になります。 刑法の授業やゼミでは、何が犯罪でどんな刑罰が科されるのか、また、他人の犯罪に関わると、どんな場合に共犯として処罰されるのか、学ぶことができます。学んだ刑法の知識をつかって、刑事事件の模擬裁判をするという実習を受けることも可能です。 卒業後は、大学で得た刑法の知識を生かして、警察官や、検察官といった法曹を志望する学生もいます。 いま人間と社会のあり方が変わろうとしています。「旧いものから新しいものへ」、「消費者から生活者へ」、「モノの豊かさから心の豊かさへ」、「産業社会から脱産業社会へ」、「国家主義、全体主義、画一主義から社会道徳、個人の自立・自助、生活の豊かさへ」と。個人の力が社会の力を超えようとしている現在、レジャー産業は一人一人の認識を変え、新しい価値観・ライフスタイルを創造する生活文化産業として再生を図るべきだと考えます。 ゼミは、フィールドワークをたくさん行い、その計画立案から発表、実施に至るまでゼミ生がすべて行うため、問題発見、問題解決能力、プレゼンテーション能力が身に付きます。今流行りのアクティブラーニングそのものの授業展開をしています。社会に出てからは、このゼミで培った能力を活かし、公務員から一般企業まで様々な職種に富んだ就職をしています。やんちゃでもいい、活力溢れる学生となることを期待しています。 主に研究しているのは、犯罪の外縁に位置する人々の刑事責任です。対象となる事例は、犯罪を行おうとする人に食べ物や衣服を与えるといった事例や、犯罪を行おうとする人を見たけれども、「自分には関係ない」と思って、見て見ぬふりをしたという事例等です。犯罪に関与してしまったこれらの人が、どのような場合に共犯になるのか、研究しています。・新しいライフスタイルを創造する生活文化産業としてのレジャー産業のあり方に関する研究・スポーツの需要構造と供給構造に関する研究・スキーの指導法に関する研究・スノ-ボードの指導法に関する研究・スクーバダイビングの指導法に関する研究長野地方検察庁・弁護士の先生の協力を得て行われる、模擬裁判の実習風景。学生たちは、検察官、弁護人、裁判官(裁判員)のグループに分かれて、架空の事件を題材とした、模擬裁判を行っています。被告人・証人等も学生です。左上:ゼミ佐渡島合宿左下:ゼミマラソン大会右上:ゼミ佐渡島合宿(狩猟成果)右下:ゼミスノーボード合宿濱田 新 講師古屋 顕一 教授慶應義塾大学法学部法律学科卒業、同大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学後、信州大学経済学部講師を経て、現職。筑波大学体育専門学群卒業、同大学大学院体育研究科修了、体育学修士(野外教育専攻)。筑波大学体育センター技官。信州大学教養部講師、同助教授、同経済学部助教授を経て、教授(現職)。研究の未来と卒業後の将来像研究の未来と卒業後の将来像主な研究事例主な研究事例21

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