人文学部_学部案内2019
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32けています。最近は町の「御用学者」と自称しているんです。——御用学者って政治や行政にべったりの? ——だから自称。真面目な, 住民の役に立つ, あるべき御用学者ってことで。——真面目…(笑)——もう1つ, 青森県の下北半島に通って15年になります。六ヶ所村を中心に, 半島各地に原子力エネルギー関係の施設がたくさん立地していますが, これは1960年代, 日本が高度経済成長に沸き立っていた時代に構想された地域開発の帰結なんですよ。企業誘致に失敗して, 国策と言える原子力施設を受け入れることになった。巨額の投資と巨大なリスクをもたらした政策と, 地域社会の行く末をつぶさに見続けていくことは, 私の研究者としての責任だと思っています。——長野県内にはフィールドはないのですか? ——もちろんあります。自然が豊かで, 環境問題や地域課題もあるので, 松本周辺だけでなく伊那や上田などで調査研究をしています。学生たちと一緒に, 調査実習に取り組むこともありますから。——実習ではどんなことをするのですか? ——社会学では社会調査法がある程度体系化されているので, 聞きとり(質的)調査やいわゆるアンケート(量的)調査など, 主な手法を実地で1年間かけてトレーニングします。学生だけで見ず知らずのお宅に伺って, 1–2時間も聞きとりをすることもあるんですよ。そろそろ終わったかなと思って迎えに行くと, 学生がおばあちゃんとすごく仲良くなってたり(笑) コミュ力上がりますね, はい。——セッティングする先生のほうも大変なんじゃないですか? ——大変だけど, 私も学生時代の実習で力がついたと実感します。私の恩師は, 2つ大事なことを教えてくれました。1つは研究と教育を積極的に重ねるこ̶茅野̶茅野̶茅野̶茅野̶茅野

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