人文学部_学部案内2019
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11From Professors研究室から2 | From Professors 2ひとつの切り口では一面しか見えない。 いくつかの調査を信州大学人文学部 心理学・社会心理学コース 准教授長谷川孝治 Koji HASEGAWA組み合わせることによってはじめて全体像が明らかになる。社会心理学というのは, 社会で起こっている問題について, 心理学の観点から分析すること。そんな理解でよいでしょうか。—— そのとおり。あらゆる社会的なものが個人に及ぼす影響や, 個人の行動が社会に及ぼす影響を研究しているんです。個人の心理を扱うのだけれど, そこには必ず社会や他者が関わっているということです。たとえば心理学は脳波を測ったりしますよね。それはその人個人の体験ですよね。それを社会心理学的にやるとすれば, たとえば誰と眠っていたらどんな脳波が出るか, 考えてみる。そういう枠組みこそが「社会」ということなんです。——先生ご自身はとくに何を研究されていますか。——自尊心について研究しています。社会との関わりにおいて, なぜ人は自信をもち, また失うか, といったことです。失うケースをよく見てみると, そこには他人に強く働きかけることによって, かえって自分のことを駄目だと思い込んでしまうプロセスがみえてくる。自尊心を失うんですね。もちろんそうした現象を調べるだけではなくて, 最終的には, どうやって自尊心を高めることができるのか, というところに研究としては入っていきたいんですけど。——̶長谷川̶長谷川

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