人文学部研究紹介
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37経 歴●研究分野日本言語文化コース所属学会と学会での活動主要学術研究業績研究から広がる未来と将来の進路キリシタン語学,印刷出版技術史 日本語学分野●現在の研究テーマ1.キリシタン語学   16世紀末期から17世紀初頭にイエズス会が日本で金属活字を用いて出版した語学・宗教文献の研究で,文法,音韻,語彙,表記などの各分野について,原典資料を重視する文献学的立場に基づき横断的に研究している。ラテン語を中心とする諸言語が複雑に関係する文化的背景がもとで成立した文献を読み解く経験を蓄積することは,現代のグローバル社会を独自の視点から理解する契機ともなるだろう。2.印刷出版技術史   日本と西洋の印刷出版技術の歴史的研究と,それが言語表現にどのように影響したのかを言語学的視点から研究している。西洋において15世紀に成立する金属活字印刷は諸言語(俗語・口語)の標準化を促し,近代的国家に必要な標準語の成立につながったことが知られているが,同じことがどのように日本語に影響したのか,東洋独自の事情を考慮しつつ中近世の日本語文献を中心として解明することが課題である。専門性が活かせる職種として中高学校の国語科教員がある。その他の進路は大学院進学,公務員,一般企業であり,その意味では人文学部の他の分野と大きな違いはない。研究上,日本語を中心として様々な言語に触れる経験があるので,日本語と外国語の接触や,ことばによる表現にかかわる職種に向いている。【著書】『ひですの経 ハーバード大学ホートン図書館所蔵』八木書店,2011  当該分野を代表する研究者の一人として,新発見キリシタン版『ひですの経』の原本調査に基づく写真複製,本文翻刻を行い,解説を執筆して刊行したもの。【研究論文】「キリシタン版の刊行と日本語学習」(福島金治編『学芸と文芸 生活と文化の歴史学9』竹林舎)2016  日本語学習,宣教と言語学(Missionary Linguistics)の観点からキリシタン語学の現在を概説した。「『原田版こんてむつすむん地』の版式について」(『訓点語と訓点資料』135輯,訓点語学会)2015  京都で出版された『こんてむつすむん地』の印刷技法を活字印影の詳細な調査により明らかにした。日本語学会,訓点語学会(委員),北海道大学国語国文学会(評議員),キリシタン語学研究会(幹事)北海道大学大学院文学研究科博士後期課程中退(1999)[最終学位:文学修士],北海道大学文学部助手(1999-2000),北海道大学大学院文学研究科助手(2000-2005),信州大学人文学部講師(2005-2010),信州大学人文学部准教授(2010-現在に至る)●准教授 白井 純

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