人文学部研究紹介
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31経 歴●研究分野英米言語文化コース所属学会と学会での活動主要学術研究業績研究から広がる未来と将来の進路英語史,中世英語・北欧語文献学英語学分野●現在の研究テーマ僕は4つの研究テーマを持っている。1.多種多様な言語文化との接触により成り立っている英語の歴史の中で,特に北欧語との接触によって,どんなことが起きたのかを明らかにすること。一番分かり易い例は「木曜日」。現代英語のThursdayは,古い北欧語Thorsdagrに由来する。つまり外来語なわけ。どうしてそんなことが起きたのか,まだ誰もわからない。だから,研究したい。2.北欧神話が日本のマンガにどうして沢山登場するのか,という謎。なぜ,敢えて北欧神話? 日本人にとっての北欧神話ってどんな意味があるの?3.エルフ語の研究。エルフ語はオクスフォード大学教授J.R.R.トールキンが考えた創作言語。でも,世界中で使われたり,研究されたりしている不思議な言語。4.中世の詩の世界。詩に詠われる内容や,何百年も昔の「ことばづかい」を学ぶことで,現代の英語話者が無意識に感じている事柄を明らかにしたいと望んでいる。大学では,英語オタクを育てたい。英語はコミュニケーション・ツールだけれど,そのツールは謎に満ちている。お話をするために英語を学ぶのではなく,その英語の過去や未来を語ることで,英語話者も知らない英語の裏話,舞台裏を暴き,現代英語を無意識に使う人々のウラをかければ最高だね。学生諸君は,英語の過去や未来について,日本人だけでなく世界中の人に伝える仕事を見つけてください。・「ハムレットの父の系譜とAnglo-Saxon Kingdomの王の系譜:神話と歴史文献学との狭間の研究ノート」Colloquia (Keio University) vol.20 (1999), pp.9-23.・「第六章 トールキンのファンタジー:創造力の源泉としての中世英語・北欧語文献学」成蹊大学文学部学会編『探求するファンタジー』成蹊大学人文叢書7 東京:風間書房, 2010年, pp.181-225.・「北欧語から英語への借入語としてのTroll」『信州大学人文科学論集<文化コミュニケーション学科編>』46号 (2012), 69-83.・「生き埋めにされた伝説:ヒストリーとストーリーの狭間のイングランド黎明奇譚」『ユリイカ:詩と批評』49巻21号 (2017年12月:特集 カズオ・イシグロの世界), pp.203-213.他,論文・邦訳多数。・日本アイスランド学会 事務局 (2002-2004)・日本中世英語英文学会 編集委員長(2014-2016)・日本歴史言語学会 (2017-)・Viking Society for Northern Research (Universithy of London)(2006-)・International Saga Conference;International Advisory Board (2009-)・Cumberland and Westmorland Antiquarian and Archaeological Society (2011-)1991-92年   アイスランド大学アイスランド政府奨学金給付留学2000年    スウェーデン,メーラルダーレン大学スウェーデン語研修受講2001-2009年 杏林大学外国語学部 講師・助(准)教授2009〜    信州大学人文学部●教授 伊藤 盡

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