人文学部研究紹介
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20経 歴●研究分野歴史学コース研究から広がる未来と将来の進路主要学術研究業績所属学会と学会での活動日本史分野●現在の研究テーマ 現代の日本につながるような社会や国のかたちが現れ出す「古代の日本」について研究してきました。 たとえば次のような問題に取り組んでいます。1.奈良時代や平安時代の社会のあり方や国家システムはどのようなものであり,それらは現代とどのような関係にあるのか。2.奈良時代や平安時代の文化は,どのように生まれ,現代の日本の文化とどのような関係にあるのか。いま私たちが住んでいる日本の国・社会・文化の成り立ちを解析していく作業は,自分たちが生きる環境(の深層)をねばり強く,客観的に分析することにつながります。社会のなかで解決していくべき問題がみつかったとき,その問題の構造を分析し,どこまでが固定された要素であり,どこが動かせる要素なのかを見極めることができれば,解決策もきっと考えやすいはずです。これは研究者にかぎらず,広く社会を支え,より良くしていきたいと願う社会人・職業人にとって必須の技術ではないでしょうか。 『平安時代の天皇と官僚制』 (東京大学出版会,2008年) 10数年のあいだ書きためていた論文を統合した博士論文を本にしたものです。「日本古代の権力は,どのような原理で物事を決定していたのか?」がメインテーマです。現代に通じる,日本の国家システムについての研究です。「国風とは何か」 (鈴木靖民ほか編『日本古代交流史入門』勉誠出版,2017年に収録) 文化に関する一番最近の論文です。「日本的」だとされる「国風文化」の構造を明るみに出すことを試みたものです。漢文学・かな文学・絵画・仏像・仏教・食事など,さまざまな分野の研究成果を総合し,国風文化の骨格といえるようなものを抽出しました。それは大変意外な姿をしていました。「蔵人所の成立と展開」 (『歴史学研究』937号,2015年に収録) 国家システムに関する最近の研究。この続きを早く研究したいと願っています。史学会,日本史研究会,歴史学研究会,日本歴史学会,大阪歴史学会,木簡学会,続日本紀研究会。史学会大会報告(1995年),日本史研究会大会報告(2003年),歴史学研究会大会報告(2015年)。そのほか学会研究会での口頭報告多数。1992年3月,東京大学文学部卒業,1995年3月,東京大学大学院人文科学研究科修了,1998年3月,東京大学大学院人文社会系研究科を単位取得退学。1999年度,日本学術振興会特別研究員。2000年4月~2007年9月,東京大学大学院人文社会系研究科・文学部助手。同年10月から信州大学准教授。●准教授 佐藤 全敏日本古代史

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