人文学部研究紹介
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17経 歴●研究分野所属学会と学会での活動主要学術研究業績研究から広がる未来と将来の進路心理学・社会心理学コース自尊心,対人関係,心理的well-being社会心理学分野●現在の研究テーマ1.ネガティブな自己評価の形成・維持プロセスに関する研究   自尊心の低い人は,自ら進んでネガティブな自己評価を実現させるような行動をとることが示されています。その鍵が,安心さがしです。安心さがしとは,恋人や親友に本当に自分のことを大切に思っていることかどうかを繰り返し確認する行動です。この行動は,自尊心の高い人でも同様にとるのですが,自尊心が低い人がとった場合には,相手から拒絶されることが分かっています。なぜそのような違いがあるのかについて,現在はSNS上の対人関係にまで拡張させて,検討を行っています。2.心理的well-beingに関する地域連携プロジェクト   2015年10月から1年間,行政や企業と連携し,地域での活動が参加者の心理的well-beingに及ぼす影響について,効果測定を行う共同研究を実施しました。具体的には,高齢男性を対象にボイストレーニングを行い,その結果,参加者の健康や配偶者とのコミュニケーションが良好になるかを準実験形式で検証しました。今後も,現場での社会心理学的研究を,産学官連携で実施していきたいと考えています。社会心理学は,人間行動を個人の特性だけでなく,対人関係や周りの状況の影響を重視して研究する学問です。この分野では,日常に起こるさまざまな出来事について,科学的な視点からとらえ,調査や実験によってデータを収集,分析し,論文や報告書にまとめるトレーニングをします。このような一連のプロセスを学び,身につけることは,広く一般企業や公務員としてデータを扱う仕事に生かすことができます。長谷川孝治・浦 光博(1998).アイデンティティー交渉過程と精神的健康との関連についての検討 実験社会心理学研究,38,151-163(日本グループ・ダイナミックス学会 平成11年度優秀論文賞(若手研究者部門) 受賞論文).長谷川孝治・浦 光博(1999).自己評価に関する自他の相互影響過程の変容についての検討 ―アイデンティティー交渉の理論的枠組みを用いて― 社会心理学研究,15,110-124. 長谷川孝治・宮田加久子・浦 光博(2007).インターネット上の自己評価と現実の自己評価との相互影響過程についての検討:両者のズレと精神的健康との関連の観点から 実験社会心理学研究,23, 45-56.長谷川孝治(2008).自尊心と安心さがしが他者からの拒絶認知に及ぼす影響 人文科学論集〈人間情報学科編〉, 42, 53-65.長谷川孝治(2016).ボイストレーニング・プログラムへの参加経験が心理的健康と夫婦間コミュニケーションに及ぼす影響――高齢男性と配偶者のWell-beingを促進するか―― 日本グループ・ダイナミックス学会第62回大会〈所属学会〉日本社会心理学会,日本グループ・ダイナミックス学会,日本心理学会,Society for Personality and Social Psychology, American Psychological Association〈学会での活動〉日本社会心理学会誌「社会心理学研究」編集委員(2011年4月~2015年3月),日本社会心理学会理事(2015年4月~2019年3月)2000年3月 広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程後期修了(博士(学術))。日本学術振興会特別研究員,広島国際大学人間環境学部・助手などを経て,2005年10月に信州大学人文学部准教授。2014年4月より信州大学学術研究院(人文科学系)准教授。●准教授  長谷川 孝治

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