農学部研究紹介2018-2019
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中村宗一郎教授島根大学教授を経て2005年4月信州大学教授、2014年6月から大学院機能性食料開発学専攻教授。機能性成分の単離同定にとどまらず、安全な手法で機能性改善を試み、オリジナリティの高いものとなるように工夫しています。カフェ酸に脂肪鎖をエステル結合させたところ、アイスランド型脳症の原因タンパク質であるL68QシスタチンCに対する抗アミロイド効果が著しく上昇した食品化学研究室では、これまでアレルギー改善効果や抗肥満・抗糖尿病・抗高血圧・抗老化作用など生活習慣病予防効果をもつ食素材の開発に取り組んできました。最近では認知症予防抑制効果が期待される機能性食素材の開発にも取り組んでいます。これまでの研究で、多糖修飾によってアレルギー性を低減化したものが経口免疫寛容剤として有効であることを報告しました。現在、山菜・山草やきのこ菌類の中にアレルギー症状を改善する機能を持つものがあることを明らかにしつつあります。アミロイド線維の沈着によって引き起こされる疾病(アミロイドーシス)関係の研究では、私たちはこれまで、どのような天然食素材が認知症予防抑制効果を示すかを明らかにしてきており、現在、これまで積み上げてきた知見をもとに天然中にはないものを分子設計しようとしているところです。本研究室では、「生体調節機能をもったMedicinal Foods (or Ingredients)、NutraceuticalFoods、Functional Foodsの開発・分子設計」に関する研究を行っています。具体的には次のような事柄についてチャレンジ中です。☞肥満・糖尿病・高血圧症などの生活習慣病予防効果をもつ保健機能食料の開発☞認知症予防抑制効果が期待される機能性食料の開発☞アンチエイジングが期待される機能性食料の開発☞花粉症や食物アレルギー改善効果が期待される保健機能食料の開発本研究室では“学生中心主義”と“世界に通用する人材育成”の2つを教育の基本に置き、双方向教育とマルチカルチャー教育を重視した研究室運営を行っています。こうして本研究室では、今後ますます発展することが期待される生命科学の領域で新たな展開を担うべき、創造性豊かで、かつ国際感覚を身につけた人材の育成を目指します。ポストゲノム時代における༂Ԇ༄ਆ؇̆؇༂ԆȈ☆食と緑の生命機能の発見と開発☆食と緑からの創薬伊那谷発“健康長寿生命科学”産業の創出遺伝子発現の制御細胞周期の調節免疫制御など生命機能の調節・改変食と緑のシグナル健康長寿長野高冷地野菜山草・山菜緑の香り光・温度・空気食品化学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像生命機能科学コース片山茂准教授北海道大学で博士号を取得後、カナダ・ゲルフ大学博士研究員を経て、2008年10月より信州大学農学部。食品機能性成分のニュートリゲノミクス(栄養ゲノム学)に関心がある。研究室では「学生中心主義」と「世界に通用する人材育成」をモットーに研究指導されており、研究室全員が楽しく学べるよう努めているとのことです。卒業後は、食品・化粧品・製薬系の企業などに就職し、専門知識を活かして活躍しています。昨今、高齢者における認知機能の低下や認知症の発症が大きな問題となっています。また、医療費の増大や介護力の低下が深刻な問題になりつつあります。このような背景のもと、脳機能維持に貢献する機能性食品の開拓ニーズが高まっています。食品化学研究室では、老化促進モデルマウスを用いて食品成分の脳機能保護効果に関する研究を進めており、アンチエイジング(老化予防)が期待される機能性食素材の開発に向けて、企業との共同研究を行っています。研究成果は、健康栄養や医療などさまざまな分野への貢献が期待されます。機能性食品が超高齢化社会を救うขଅଅ̇Ѕ修士課程久志本尚子さん国際会議での受賞(USA)右は世界的に著名な研究者Dr.シャヒディ氏食品化学を専門とする研究室であり、女子学生も多く在籍している。研究成果は国際会議で発表し、高い評価を得た研究発表に対しては優秀発表賞などを受賞している修士課程近藤葉月さん国際会議での授賞(Canada)食品化学研究室では、生体調節機能をもった機能性食素材の開発および分子設計に関する研究を行っています。具体的には、認知症予防効果、アンチエイジング(老化予防)、花粉症や食物アレルギー改善効果、肥満・糖尿病など生活習慣病の予防効果をもつ食素材の開発に取り組んでいます。超高齢化社会を迎えた我が国では、高齢者がいつまでも“はつらつ”と輝き活躍する社会づくりが求められており、食品化学研究室では、健康長寿社会の実現に寄与する新たな機能性食品の創出をめざして研究を行っています。大豆ペプチドを摂取したマウスでは、脳海馬において神経栄養因子の産生が促進されている。モリス水迷路試験では、記憶学習能の改善効果が示されており、大豆ペプチドの脳機能保護効果が明らかになっている食品化学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像生命機能科学コース5

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